第24話「やるべきこと」
俺たちはあの後、羽咲さんに言われた場所に行った。
羽咲さんも行くのかと思ったけど、寮の近くを守りたいらしく、気をつけてと言って寮から送り出された。
どれだけ寮を大切に思っているのかは分かったけど、それよりも生徒を守ってくれよ……。
と、そこですでに待っていた女性の先生が手で来い来いとジェスチャーしてきた。
遠目から見たら男って思うくらい筋肉のある人だ。強そう。
「お前らは羽咲のとこの生徒だな。よし、そんじゃあやって欲しいことを伝え………ん?」
俺の方を見て急に話が止まる。
なんだ?
「お前………噂の転入生か?」
「ま、まあそうなりますかね」
噂かどうかは知らないけどね。てか一ヶ月近く経ってるんだし噂も消えてきてる頃だろう。
「そうか。……才能持ちなんだっけ?」
「そうらしいですけど自分もよく分からないです」
「……まあそのうち花開くよ。頑張れ」
ありがとうございます、と言おうとした瞬間、先生方の雰囲気が少し変わった。なんというか、皆の動きが速くなった感じ。
「な、何かあったんですかね?」
「まあな。とりあえずお前らのやることを説明する。時間が無くなってきたから手短に話すぞ」
おそらく敵に動きがあったのだろう。早くない?
なぜそれに気づいたのかは分かりませんすいません。
「お前らはここにずっとはいない。とりあえず初めにくる敵をほとんど殺って、俺たちに余裕ができたらお前らは避難しろ」
なるほど。学校側はおそらく、敵は初っ端に数で押してくると読んだのだろう。
そこが山だと考えた。だから一応の保険として生徒を呼んだ。
本来なら避難させるんだろうけど、学園長がいない今少し不安が残るのも分かる。
「まあ俺らは保険なんてもんいらねえんだけどな。佐々木さんが言ったから仕方なくだ、仕方なく」
軽いフラグ発言してきたぞ。狙っていってんのかな?
というか佐々木さんって学園長に挨拶しにいったときにいたあの奇妙な人か?
とそこで七瀬さんが口を開いた。
「あのー、その感じだと私たちは戦わないかもしれないってことですか?」
「まあ間違いなく戦わないだろうな。俺ら教師だけで十中八九捌ける数だし、お前らが必要になるってなったら怪我した教師の応急処置くらいだ」
それを聞いたみんなは少し肩の荷が降りたような表情になっている。
俺もそうだ。でも、少し今の力でどのくらい相手と渡り合えるのか気になるけど………。でもそれ以上に死の恐怖を感じてしまっている。
と、そこで…
「おーい!そこの生徒!後ろに下がって!」
「……私たちに言ってるんだよね?」
「お前らのことだな。そろそろくるんだろう。せっかちな奴らめ。いいか、自分の身は自分で守れ。いつまでも他人に頼りっぱなしはやめろよ」
先生は最後にそう言い残して持ち場に戻っていった。
「な、なんか大丈夫かもね」
「自信満々だったしね!」
「とりあえず離れましょう!危ないですし、自分の身は自分で守れって言ってましたし!」
「そうだね」
俺たちは校舎側に下がり、一応いつでも動ける姿勢をとって待つ。
と、ここで少し疑問が浮かぶ。
俺はまだここにいる寮の皆よりも弱いのかな?感覚だとそこまでレベルに差はないと思っているのだが、慢心だったりするかな。
「まだ流石にあんたよりも私たちの方が強いわよ」
「そうっすよね〜。ごめん、ただの慢し……いや待って、今口に出てた?」
「? 何のこと?」
「………………」
いや出てない。絶対口には出てないって。でもじゃあなんで分かった?
(こ、怖い……)
と思った瞬間、
「っ!?」
なんだ!? 空気が、重いっ!
グラッッッ!!!
「「「きゃぁぁぁぁ」」」
「な、なんだ!? 地震?」
なんらかの圧で動けなくなっていると、さらに地震のような揺れが追加で注文された。
立つこともままならない。
(うぐっっっっ!!!)
流石に自然現象とは言えない揺れに動揺を隠せない。
(はっ!皆んなは!?)
みんながいた横に視線を向けると、教師たちに支えられながら立っていた。
しかし、俺の方には手助けをする気配はない。
「おい!俺も助けろよ!」
「男なんだから自分で頑張って」
「え………………」
すいませんでした。
この前きたばかりでろくに戦闘もできないけど男だからやっぱり自分でやらなきゃっすよねそうですよね知ってましたよそんなことでも教師は生徒一人ひと…………(以下略)
てか、前線にいる教師たちは全く動じてない。庇っている先生もだ。倒れる気配がまるでない。
筋力解放してんのか? でもそれだと疲れるし、温存したいのはおそらくどのレベルになっても同じだ。
体幹の強さか。
「揺れも弱くなってきたから、おそらく攻撃を開始してくるわ。私は持ち場に戻るけど、くれぐれも近づかないでね」
「「「わ、分かりました」」」
『くるぞーーーー!!!』
誰かが叫んだ瞬間、誰もが目の前の木々から走ってくると予想した。
全員が戦闘態勢に入る。
が、来ない。
理由は簡単。
「こ、こない?」
「いや、何かがおかしい」
「……………………」
っ!?
『上だぁーーーー!!!!!!』
「んな!?」
地上からではなく、空からの攻撃を仕掛けてきたから。
そして、全員の視線が上に向けられた瞬間、木々の奥から猛スピードで走る人間が現れた。
————————————————————
あとがき
戦闘描写書くのむずくない?
あと、初めの方の話を少しいじりました。ご了承くださいぃ。
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