第14話「女神」


 日曜日、午後


 ご飯を食べて皆眠くなってきたのか、急に静かになった。美坂さんは食べ終わった後すぐに部屋に戻っていった。


「皆眠いんですか?」


「……眠いわね」


「そうだねぇ〜」


「神田君は眠くないの?」


「まぁ眠いっちゃ眠いですね。」


 昨日は普通に眠れた。でもここ何日間かでの出来事を睡眠でカバーしきれていないのがわかる。

 拉致られて女子寮に連れて来させられ、美少女たちと過ごすのが疲れないわけがない。

気を使うのが何よりも面倒だ。


「はぁ………」


「本当にお疲れっぽいね。肩でも揉んであげようか?」


「いや大丈夫です。寝れば治ると思うので…。少し寝てきます」


「そう。無理はしないでね?本当に具合悪くなったら誰でもいいからすぐ言ってね?」


「分かりました」


 気の使い方がプロだな。流石の寮母さんだ。


 (母親ってこんな感じなのかな)





 自分の部屋についた俺はすぐ布団に寝転び寝る体勢をつくった。


「はぁぁ………」


 眠くなってきた。

 本当に寝ようとしたそのとき……


 コンコン


(ん?誰だろう……)


 俺はベットから重い腰を上げてドアを開けた。


「はーい、誰ですか?」


「あ、あの!ぐ、具合悪くないかなと思って、来ました」


 来たのは日菜さんだった。俺を心配して来てくれたのだろう。


「心配させちゃいましたか。大丈夫ですよ。元気です。少し疲れてるだけで、さっきも言いしたが寝れば治りますよ」


「…………………」


 どうしたのだろう。さっきから俯いたままだ。


「あの、どうしたん………」


「あの!」


「っ!?は、はい」


「あの、マッサージ……しましょうか?」


「………え?」


 マッサージ……………。疲れた体がすごく反応してます。やばい。すごく受けたい。

 でもいいのか?この子にそんなことさせて。断った方が………。

 でもやばい。体が受けたいと叫んでいる。


「あ、あの………。い、嫌なら良いんですけど…………」


「い、いや!嫌とかではなくてその……本当に受けてもいいの?」


「は、はい!ご飯も作ってくれてるし、私はこんなことしかできないので…………」


 なんていい子なのだろうか。歳はおそらく一つ下くらいだろう。それなのにこの寮内で一番と言ってもいいほど優しく、気遣いのできる子だ。泣けてくる。


 ということで、ベットにうつ伏せで寝させてもらってます。


「あの、眠くなったら寝てもらって構いませんから。少しでも休んで欲しいのが私の本望なので………」


「……………女神が……女神がいる……」


「え?」


「ああ、何でもないです。こっちの話です」


「は…はあ………?」


 では、始めますね?、と言いマッサージを始めた日菜さん。

 まずは腰回りから始まった。えぐいです。まじで癒されるぅ〜。気持ち良すぎる。


「あの、気持ち良すぎてこのままだとすぐ寝てしまうかと……」


「構いませんよ」


 女神だ…………!この子は女神だ!

 

「遠慮なく眠ってください」


「…………はい」


 セクハラで訴えられないよな……。

 








 そのあと俺が何分起きていたのかは分からないが、すぐ眠ってしまったのは間違いない。


 起きたのは夕方頃。外が紅色に変わってきた頃だ。

 体を起こして周りを見回してみたら日菜さんはいなかった。

 でも本当に熟睡できた。かなり疲れが取れた気がする。

 まじで気持ち良くて、またお願いしたいくらいだ。


 俺は軽く伸びをして、晩御飯を作るためリビングに向かった。

 リビングには皆いて、車のゲームをしていた。そこには女神様もいて、礼を言おうと思ったが試合中で邪魔しちゃ悪いと思い、晩ご飯を作り始めた。



 作り始めてから二十分くらい経った頃。

 試合で負けまくったのが分かるほどの顔をした女神様が側に来た。


「皆強過ぎます。おかしいです。私が弱いのでしょうか?」


 すごいぶつぶつ言ってる。どれだけ負けたのだろう………。


「負けたんですか?」


「負けてないです。戦略的撤退です」


「なるほど」


 まだ勝負はついてないらしい。応援するよ。


「それで、疲れは取れましたか?」


「まじで取れました。本当にありがとうございました」


「いえいえ。そんな大したことしてないですから」


「そんなご謙遜言わないでくださいよ。何かお返ししたいんですけど、何か欲しいものとかあります?」


「………………」


「?」


 何だ?何故か頬を膨らませて、不服そうな顔をしている。

 何かまずいこと言ったか?


「…………け、敬語で喋らなくていいです」


「……え? け、敬語?」


「……はい。名前も呼び捨てにしてください。何か、すごく距離を感じます。マッサージしてあげた代わりに、敬語を取って今後は話してください」


「え、そんなんでいいの?」


「はい!」


「………分かった」


 そんな満面の笑みで言われたら断れないです。まあ断る気もないんだが。


「あ!何かお手伝いしましょうか?」


「んー、……じゃあ盛り付けやってもらおうかな」


「わかりました!」


 それからは適当な話をしながら料理を終えた。今夜の晩御飯は肉じゃがだ。理由は俺が食べたいから。

 皆に出来たことを伝え、テーブルに置いた一瞬にして寄ってきた。


「今日は肉じゃがなんだね。……やば、すごく美味しそう………」


「に、肉じゃがね。まあ、どうせ不味くはないんだろうけど、これに関してはお母さんの味に勝てるとは思わないことね!」


「いや別に競ってねーよ………」


 何故七瀬さんは毎回嫌味を言ってくるのだろう。早く食べたそうな顔しながら言ってくるから何とも言えないのだが……。


「お母さんの肉じゃがなんてしばらく食べてないわね」


「………食べたい」


「まあ今回は俺ので我慢してください」


「そういえば神田君の料理スキルは母親譲り?」


「…………まあ、そんなとこです」


「?」


「とりあえず食べましょう。俺が肉じゃが食べたかったから作った感じなので」


「はーい」



 それからはいつも通り普通に食べた。


 部屋に戻った後は明日の初登校の準備を再確認した(前準備したから)



————————————————————

 あとがき


 星(グットボタン?)を押してくれるとありがたいです。やる気が出ます。



 学校に行ったら戦闘系、寮内ではほのぼの日常系(ラブコメ)を描こうかなぁ。



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