第8話「自己紹介しましょう!」


 それからは結局、反対していた七瀬さんが折れてくれて俺は寮で暮らせるようになった。でも七瀬さんに最後……

『あなた、深奈って言いましたね。いいですか、私はあなたを信用したというわけではないので、その辺はよく覚えておいてください!』

と言われた。何かツンデレみたいで可愛くてつい笑ってしまったら話を聞いてくれなくなりました。とほほ。

 まあそんなことがあって、今に至ります。


「ではご飯を作る前に自己紹介しましょう」


 そういえば誰からも自己紹介されてなかった。名前は時々聞こえてきたが、全員ではない。

 なんて言おうかなぁ……。


「では私から。私はこの第9棟寮の管轄を任されているこの寮の寮母、羽咲明希(はさきあき)と言います。分からないことがあったら何でも聞いてください!」


 ・桃色髪ショートボブ

 俺をこの高校に連れて来た本人。スタイル良く可愛い。寮の人たちからは厚い信頼を受けている。



「じゃあ、次は隣の私から。名前は南なずな(みなみなずな)。下の名前は平仮名です。去年からここにいます。細かい作業が結構得意です。………いじめてきたりー、小さなことをいじってくる人はー嫌いですー。よろしくねー」


「ど、どうも」


 ・黒髪のポニーテール

 寮生の中で初めて話した人。自己紹介中一瞬ジト目をされた気がしたが気のせいということにしておこう。



「美坂小南(みさかこなみ)、去年ここに来た。本が好き。よろしく」



 ・黒髪ショート

 今初めて会話したな。会話っていうのかは知らないけど。雰囲気的にあまり喋らないタイプかな。



「七瀬春(ななせはる)と言います。二人と同じく去年ここに来ました。あなたを信用していません。嫌いです」


「さいですか……」


 ・水色髪ロング

 嫌われてます。怖い。助けて。

 …………………美人というところが何かムカつく……。



「松野椿(まつのつばき)っていいます。私はなずなちゃんが来る数週間前からこの寮に居ました。男性とはあまり接触したことないので今君に興味津々です。よろしくね、深奈くん」


「よ、よろしくお願いします」


 ・黒髪ロング

 凄く大人っぽいっていうのが第一印象。

 なんか今すごい目で見られてたけど大丈夫かな? 俺女性に興味持たれたのはじめてなんだが? 夜這いとか平然としそうだし気をつけよう。



「や、八坂日菜(やさかひな)と言います。春ちゃんと一緒に来ました。男性とはあまり話したことなくて、話す時緊張するかもですので、お、お手柔らかに…………。よ、よろしくお願いします」


 ・茶髪ショートボブ


 おっとりした感じの子だな。一番ちゃんとしてそうだ。相談があったらこの人に聞こう。でもまずは男性慣れしてもらわないといけないな。


「じゃあ次、深奈君」



「神田深奈(かんだしんな)です。さっき来ました。表社会では一人暮らししてました。『殺しの才能』があるみたいですけど自分は人を殴ったことすらありません。これからよろしくお願いします」


「よろしくねー!それでは、深奈君に何か質問とか聞いておきたいことがある人いますかー?」


 と初めに南さんが手を挙げた。


「人間ですか?」


「違く見えますか?」


「………………」


「え?」


 真顔で無言はどういうこと?

 と、次に羽咲さんが手を挙げた。


「それじゃあ、彼女はいましたか?」


「…………………いませんでした」


「うん、しばらく監視してたから知ってた」


「………………………」


 泣きたくなってきた。七瀬さんが指差しながら笑ってるし…………。

 あの人清楚な感じなのに俺にだけマジで清楚もクソもない態度だな。


 次に椿さんが手を挙げた。


「はーい、深奈君は〜、童貞ですか〜?」


 おい!!それは聞いてはいけないやつだろ!


「………………ノ、ノーコメントで」


「童貞っと(書き書き)」


「メモしないでくれる!?ノーコメントだから!?確定してるみたいに書いてるけど真実は言ってないから!?」


「はわわわわ………ど、童て………っ!」


「セクハラでーす」


「…………」


「そういう質問はなしで!」


 みんなの視線が痛い!

 ってかなんで俺が悪いみたいになってるの?


 そこで少し頬を朱に染めた八坂さんがおぞおぞと手を挙げた。


「あ、あの……お腹空いたんで、晩御飯にしません? 質問は食事しながらでもできますし……」


「賛成」


 美坂さんがすぐに反応した。

 八坂さんマジでナイスな切り出しすぎる。


 微妙な雰囲気が変わっていくのがわかるぞ。

 

(ん?)


 おかしい。いい感じだったのに何故か一瞬で険悪な雰囲気になった。

 マジで何故?


「…………深奈君もこれからここで暮らすんですから、この戦いからは逃げられませんよ?」


「え? 今から戦うの?」


 なんのための戦い? ルールは?

 ってか今ご飯食べようって話してただけだよな。


「鈍感ね。少し考えれば分かるでしょ」


 と、七瀬さんは言うが………。

 一般人ならすでに答えがわかっているのか…………あ!


「買い出しに誰が行くか、だろ!」


「違うわよ」


 ………………。


「……なら何ですか?」


「はあ……誰が料理するか、よ」


「ああー」


 そっちか。確かにそれもあったな。


「というか、そういうのって寮母さんがすることじゃないんですか?ここで言えば羽咲さんですけど………」


「そうなんだけど羽咲さんが、『女たるもの!いつ何時にお婿さんになっても大丈夫なように、料理くらいできるようになってなきゃダメよ!!』って言って………。男なんてこの学校ろくにいないのに………」


 なるほど、まあ大人の意見として一理あると思い、ふと羽咲さんの方に視線をやったら………


(……フイッ)


 顔を逸らされた。なるほど。自分が料理するのめんどくさいからか………。


 それなら………………


「なら自分作りま——」

「「「「「「いいの!?」」」」」」


(まだ言い切ってないんだけど。クッソ嬉しそうな顔してやがるこの『メス』ど「うぐっっ!」


「今失礼なこと考えてたでしょ?」


 七瀬さんは相手の心を読む力でもあるのだろうか? 怖ぇ……。

 ってか清楚どこいったんだよ。


「……すいませんでした」


 俺は殴られた腹のところをさすりながら、キッチンにある冷蔵庫へと足を向けた。







————————————————————

 あとがき


団長のおつぱいおもろすぎて眠れん。

是非とも読んでない人は読んでほしい。


もっと売れなければ!






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