第4話「解約ですね」


「は、は?こ、殺しの才能?」


「はい」


 この人平然とえぐいこと言ってるぞ!こんなかわいい顔して心の奥にこんな闇を持っていたなんて。


「とりあえず落ち着いてください」


「……落ち着いてますよ」


 そう、落ち着いてるとも。

 理由は簡単。信じてないから。

 こんなの信じれるわけないじゃん。


「信じてないって顔してますね」


「そりゃそうですよ。知らないかわいい人に殺しがなんだと言われて信じる奴が何処にいます?」


「か、かわいい!?……う、嬉しいこと言ってくれますね……」


「喜んでもらえたなら良かったです。じゃあ自分にも喜べるような情報を下さい」


「そ、そうね。喜べるような情報は………」


 頬を少し赤に染め、テンパりながらも手元に資料のようなものを取った。

 その資料には何が書かれているのかな?俺の情報が書かれてるのかな?見てみたいなぁ。


「えーっと………あ!そうだ!これは喜んでくれるんじゃないかな!」


「拉致した相手に何言われても喜ばないと思いますけどどうぞ」


「あなたはこれからおそらく最強になれます」


「……………………」


「……こちら豚骨ラーメンです」


 最強になれるって、何処にそんな自信があるんだよ。俺の何を知ってるんだ?この人は。

 あと店員さん空気読んで。


「そんな『何言ってんだこいつ』みたいな顔して見ないでください!私は至って真剣です!」


「真剣なのは分かりましたが、それを言われても信じれないですって。まず自分が最強になれるわけないじゃないですか」


「ここで訓練すれば強くなれるんです!あなたの場合だと殺しという才能の力と掛け合わせれるので本当に最強になれるんです!」


「ズズズっっ、ん、ん、ん、ゴクッ……うまうま」


「聞いてますか!?」


「俺を家に帰してくれるって話でしょ?」


「違いますよ!まったく……」


 すごい頬が膨らんでる。リス並みに膨らんでる。


「怒っていてもかわいいってのはいいと思いますよ」


「えっ、か、かわいい?えへへ〜、て、照れちゃうなぁ〜」


 チョロすぎやしないか?


「はっ!だめよ私!こんなあからさまな騙しに引っかかっては!」


 気づいたか。


「とにかく、深奈君は今から強くなるためにこの学園で生活してもらうことになります」


「ん、ん、ゴクッ…生活ねぇ〜。………

……………………はぁ!?」


「食事中ですから大きな声を出さないでください」


「そんな冷静でいられるかよ!ここで生活!?嫌だよ!俺家の家賃払わないといけないし!」


「そういえばアパートに一人暮らししていたんでしたね。その辺は大丈夫です。こちらで全て対応しましたので」


 すごく嫌な予感………。


「た、対応………って…………?」


「解約ですね」


「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 帰りたいけど帰れなかった。




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