第24話 逆転の一手、勝利への道

 「さぁて、エロスを怒らせたはいいがここからどうしようか。タイミングを間違えれば大けがじゃすまねぇよなぁ」

潤はまだ大丈夫そうに見えるが、けっこうヤバそうだしな。

「ほらほら、攻撃してこないと私が殺しちゃうぞー!それとも、鬼ごっこのつもりなのかなー?キャッハハハ」

「そう言ってられるのも今のうちだぜ。最後に笑うのは俺たち人間だ」

「あんたはさぁ、嫌じゃないわけ?私らの戦争に無関係なのに巻き込まれて、戦わされてさぁ」

「それこそ、愚問だな。俺は、家族を兄弟を守るために戦っているんだ。むしろ、望んで戦っているくらいだ」

そう言いながら、母から渡されたお守りを固く握りしめる。帰りたくないと言えば嘘になるが、だれかがやらなばならぬこと。なら、その役目は俺で十分だ。

「お前たちは人を長年見てきたんだろうけど、結局人の事なんてなにも分かっちゃいねぇな。どっちが愚かだか」

「あんた、どうあっても死にたいようね。いいわ、気に入ったわ。泣き叫ぶくらい苦しみながら最高の快楽を与えて殺してあげるわぁ」

潤、合図はまだか?早くしてくれ…。

「ねぇ、あなた死ぬのは怖い?」

「そんなもんにビビってたら戦えねぇよ!」

「じゃあ、特別な一矢をあげるわ♡」

これはいよいよヤバいかもな…。

「歩夢さん、いまならやれます!」

「了解だ!」

間に合って良かったぜ。

「なぁ、エロス。その矢、貴重な矢なんだろ?なら、よーく狙わないとな」

「言われなくても分かってるわよ!」

エロスの言葉を合図に機体の進路を潤に向けて大きく舵を切る

「また、逃げようっての?でも、逃さないから」


 歩夢さんに合図を飛ばした時、ヘスティアと変わらず攻防戦中だった。が、ここまでの戦いで動きに慣れたからか、型を見極め足払いをかけた。上を見上げると歩夢さんがこちらに向かっている。

「逃げなきゃ、マズイよね」

「敵に背を向けるとは愚かな。もう、降参か?」

次の瞬間、ヘスティアの悲鳴が轟く。

「作戦成功だね。歩夢さん」

「なんとかな、しかし考えたな」

作戦、というのはエロスの矢をヘスティアに当てるというものだ。一見簡単そうに見えるが、エロスにバレたら、ヘスティアが気付いたら、そしてタイミングを間違え俺か歩夢さんが死ぬ可能性すらあった作戦だ。

「ここから一気に畳み掛けるぞ、潤!」

「ああ!」

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