第19話 戦いのプレファッチオ
「いよいよですね、潤。緊張してますか?」
「まぁね」
神を相手に戦う、それが現実となるのだ。緊張するな、という方が無理がある。
「やぁ、君たちが噂の新人だね、我はヘリオス。今回の試験監督のようなものだよ。どうぞ、よろしく」
美しい銀髪をなびかせる彼がヘリオスさんか。
「で、俺たちはどうすればいいんだ?」
「そちらのコントロールチェアに座り、ガイアシステム起動、と言ってください。由貴はここでモニターを見ながら私と一緒に作戦の指示などをお願いします」
あのチェアに座るのか。緊張の影響だろうか、手が震えてる。
「潤、あまり気負う必要はありません。あなたの長所である、何も考えず突っ走るを今すぐ発揮するときです」
「こう見えて色々考えてるんだけどな!でも、ありがと。おかげで少し気が楽になった」
「それならよかったです」
普段笑わない彼女の自然な笑顔というのはそれだけで十分な破壊力がある。それを噛みしめるように実感する俺であった。
「潤、どうしたー?早く行くぞー!」
歩夢さん急かされ慌ててコントロールチェアに座る。チェアの座り心地はお世辞にもいい、とは言いにくいが、これから自分は何度もこのチェアに掛けていくのだからそのうち慣れるだろう。
「上野歩夢、山邊潤、ヘリオスの着席確認。ガイア機、座標コマンド入力。機体、及び搭乗員バイタリティ全て異常なし…出撃許可確認。3人とも準備が出来ました。ガイアシステムを起動してください」
メーティスさんの声と心地良くなる機械の入力音をBGMに父の事を思い出す。厳格な父。その父が敷いたレールの上を走らせてばかりだったが、その道から脱線する事を選び、今こうしてここにいる。そんな父に見せつけるように、自分一人でも出来るのだとという事を誇示するように叫ぶ
「ガイアシステム起動!」
その瞬間、自分の身体が光に包まれた、比喩ではなく文字通りに。眩しい、と感じる前に次の瞬間にはあの模擬戦と同じ光景、場所が目の前に広がっていた。この光景だけはなんど見ても見慣れない事だろう。
「無事に目標地点に到着出来たようですね。その地点からアテナ軍のいる場所へ向かってください。場所は機体の地図機能にマークしています」
地図機能?
「地図機能はスクリーンの右上を押したら出るよ。場所が確認出来たら出発するよ」
ヘリオスさんの号令を合図に出発する。さぁ、戦いの始まりだ
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