第18話 戦うもの,戦わないもの
由貴さんの宣言が冗談の類ではないと言う事はその瞳を見れば一目瞭然だ。
「ここからは由貴様に変わり、私がご説明させて頂きます。彼女の最終的な意思としては戦う、ということに相違はありません。ですが、今はまだ実力不足なので基礎訓練に身を費やし、実力をしっかりと付けたい、ということです」
「イツキ、ありがとう。うん、イツキに全部言われちゃったけど、そう言う言葉です。文句があれば遠慮なく言ってね」
パチパチと乾いた音が部屋に響く。焚き火が燃えている訳ではない、歩夢さんが拍手をしている音だ。「すげぇよ、由貴。俺には到底出せそうにない答えだし、何より由貴が自分で決めた答えなら俺は何も言わねぇ」
「うん。俺も歩夢さんの意見に賛成。俺も手伝える事があれば手伝うよ」
「わ、わたしも協力します!」
「素敵な仲間に恵まれましたね、由貴。お二人はいかがしますか?由貴同様、後続隊に回るのも1つの道です」
メーティスさんが優しく諭すように問うてくるが俺の中で答えは決まっている。
「戦います…最後までみんなと戦いたいです」
「俺も同意見だ。由貴の分まで暴れてやるぜ!」
それぞれの回答にメーティスさんは大きく頷いた。「メーティス様、貴重な時間を私の為にありがとうございます」
「そうだ、緊急の用事ってこの事立ったのか?」
「いえ。緊急事態というのは先遣隊であるアテナ軍が神と人の世を繋ぐ境界付近にてヘスティア,エロス両軍と激突。急ぎ、救援に向かって欲しいのです」
なるほど、事情は理解した。が、気になる点が一箇所ある。
「分かりました。でも、そのような任務を俺たちだけで行かせるんですか?模擬戦を終えたばかりだというのに」俺の質問にメーティスはクスリ、と微笑む。まるで値踏みするかのように
「その点に関してはご安心下さい。ヘリオスも同行しますので。緊急事態、と言いましたが今回の戦いに関してはヘリオスとアテナの両名で事足ります。今回の目的は貴方がたへのテストを兼ねた実戦経験を積んでもらう事にあります。由貴に関しては、後方支援の内容把握になります」
「納得した。出発は今すぐにか?」
「ええ。ここまで休まずで辛いでしょうがご理解ください。ヘリオスはこの部屋の奥、コントロールルームにて待ってます。準備は宜しいでしょうか?」そんなの今更、聞かれるまでもない。いよいよ始まる…俺達の戦いが
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