第17話 2軍宣言

 父と袂を分かつことになったからであろうか?

気持ちが幾分か軽い気がする。

「潤、いい顔になりましたね」

「そう?」

「ええ、迷いが晴れたような,そんな顔です」

確かに自分のやりたい道を歩めてるという意味では、迷いが晴れたように思う。

「よう、潤。メーティスからの伝言、緊急の用向きで至急、作戦本部へ来いってさ」

「由貴さんにその事は?」

「あ、あの、歩夢君は伝えようとしたんですが、やっぱりまだソッとしておくべきかと」

「オトナシがこう言うからな。ま、相棒のイツキが何とかしてくれるだろうし、こっちの問題は俺たちで何とかしようぜ」

それもそうか。下手な事をして傷を抉るような事はしたくない。歩夢さんに付いていきながら、他愛もない話をする。家族や趣味、そのどれもが俺には新鮮に感じられた。

「待たせたかな、メーティス。由貴は…」

「彼女なら既に来てますよ。大事な話があるとか」

大事な話、何だろうか?

「ナジェ、俺が帰ってる間に何かあったのか?」「いえ、何もありませんでした」

ナジェも知らない、と。オトナシさんも不安げに由貴さんを見ている事から2人も知らないようだ

「2人共、まずはごめん。迷惑かけて…」

「何度も言わせるな。気にする事はない、最初だったんだから」

「うん、分かってる。でも、やっぱり自分なりのけじめは付けたいから…」

言い淀む由貴。肩は小さく震えている。

「大丈夫ですよ。2人とも、理解してくれます。信じましょう」

「メーティスさんの言う通りです。俺たちは仲間ですから、何を言っても受け止めます」

「そう言う事!」

「2人ともありがとう」

「由貴様、潤は頼りなくてつまらない人間ではありますが、優しさだけは人一倍あります。むしろ、優しさが無ければただのクズです」

「ナジェ、そこまで言うなよ。流石に凹むぞ」

ナジェの一言で場が一気に笑いに包まれ、先程までの暗い雰囲気が嘘のように感じられる。

「ようやく笑いましたね、由貴。やはり、人には笑顔がよく似合います」

言葉が乱暴すぎる面があるが、心根はやはり優しいようだ。先ほどの発言も、由貴を気遣ってのものだったみたいだ。 

「ありがとう、ナジェ。おかげで少し気持ちが楽になったよ。私が伝えたかったのは、実力が伴うまで前線ではなく2軍としてみんなを支援したい、という事」

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