第14話 俺の居場所

 「遅かったな、潤。今までどこで何をしていた」

「別に、どこでもいいだろ」

「何だ、その物言いはお前は将来、国を背負う立場になる人間なんだぞ」

始まった。父は県議会の議員を努めている。そして、将来は俺も議員になるようにいつも言ってくる。今、入学している高校だって俺が望んだ訳だけでは無く父の決定によるものだった。今まで黙ってそれに従っていたが、それも今日までだ

「父さん、悪いけど…俺、少し家を出るから」

「何を言っている!そんなのでこの国」

「黙れよ、父さん!父さんらはいつもそうだ。国の事ばかり、俺の事なんて見てなかった。もう、うんざりなんだよ」

「親に向かって、なんだその口は」

父さんの手が上がる。殴られる、そう思い身体が無意識に身構える。…が、その手がおりてくる事は無く空中で震えていた。

「父さん…?」

「好きにしなさい。国を背負う者として見聞を広げるのも大事な事だ」

「最後に、一ついい?」

「なんだ?」

「父さんは俺の事、大事に思ってた?」

その問いに父さんは豆鉄砲を食らったような顔になったが、すぐに険しい顔へと戻り

「なぜ、そのような事を答えねばならんのだ」

ああ、そういう事だったのか、ようやく理解した。

母さんを早くに亡くして父さんが俺の事を育ててくれたけど、どこかそれに違和感があった。それは父さんが俺を息子として見ていなかった、という事だったのだろう。

「ありがとう、父さん。俺の居場所はここじゃないってよく分かったよ。父さんは将来、議員になれるのなら誰でも良かったんだよね。じゃあ、さようなら。もう、帰らないから」

「待ちなさい!」

父だった人の声が後ろで聞こえるが、俺はそれを無視した。これで、心置きなく安心して戦える。

晴れやかな気持ちで鈴を鳴らして、俺はみんなの元へと帰る。

「おかえりなさい、潤」

「ただいま、ナジェ」

「何か辛い事があったのですか?」

「どうして?」

「潤が泣いているからです」

「泣いてなんか…」

言われて気付いた。俺は涙を流していた。

「事情の説明を要求。でなければ、ベッドに拘束

尋問します」

少し迷ったがナジェに事情を説明した

「なるほど理解しました。ですが、潤。父は貴方を歪な愛ではありましたが、愛していた。私はそう思います」

「どうして?」

「血の繋がりとはそういうものではないのですか?」

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