第13話 それぞれの想い
戦闘シミュレーションを終え、訓練場に戻って来たが3人の表情は決して晴れやかなものでは無かった
「いやぁ、実に素晴らしかったよ。会って間もないというのに見事な連携だった」
「お世辞はいりません。私の剣が届かなかった…あれが実戦でしたら2人が死んでいた可能性もありますよね」
「そうだね…。その可能性は否定できない。だけど決して世辞ではないよ。確かに、結果は残念だったかもしれない。でも、大事なのはその過程だと僕は思うな。歩夢君が言っていたように、君たちはまだ新兵だ。経験も実力も全てにおいて、僕たちに劣るだろう。でも、それはこれから、いくらでも挽回出来るチャンスはある、と思うな」
「ありがとうございます。少し…一人で考える時間を下さい」
由貴さんはそう言い残し、部屋を後にした。
「由貴様は本当に責任感が強いお方です。それ故に、一人で抱え込み過ぎなければよいのですが…。私は、心配なので少し様子を見てきます」
イツキさんは一礼をして由貴さんの後を追いかけた。
「ところで、メーティスはどこだ?」
「彼女なら君たちの部屋の用意に行ったよ。あ、でも家に帰りたいのなら、遠慮なく言ってね」家……?何か忘れてるような……
「あ!」
「どうした、潤⁉」
「学校…」
思い出した、ナジェに拉致られてここにいるけど、俺、学校にいってたんだった。
「その点は大丈夫です。ヘカテ様が魔術で何とかしてくれます」
「ああ、それくらいお安い御用さ」
ホッと胸を撫で下ろす。だが、これから先を考えると学校に行けない事も視野に入れなければならない。
「ナジェ。ここは俺の居場所と思っていいんだよな?」
「愚問です。愚問すぎて答える気すら起きませんが、初回サービスです。答えはYESです」
そっか…その言葉で決心が付いた。
「ありがとうナジェ。ヘカテさん、一旦家に帰ります。やる事があるので」
「そうだな。俺も家族を説得しなきゃいけねぇし」どうやら、歩夢さんも同じみたいだ
「了解した。ナジェとオトナシはここに残って、雑用を手伝ってくれ。準備が出来たら、この鈴を鳴らしてくれたらこちらに自動転送するよ。それじゃ、行ってらっしゃい!」
さぁ、今まで避けてきた問題に向き合う日が来たのだ。強い覚悟で家の扉を開ける
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