第5話 真実(偽) 神々の戦い

メーティスさんがひと呼吸置いて

「神罰とは03が説明した通りの意味です。

そして、その神罰に反対したのが私を含めた一部の神々でした。結果、神々は大きく2つの勢力に分かれました。私が味方する反対派の神々…ハデス・ヘファイトス・ペルセポネ・アテナ・アルテミス・ヘリオス・ヘカテ。そして、賛成派の神々…ゼウス・ヘラ・アレス・エロス・テミス・メルクリウス・バッカス・ヘスティア・アフロディーテ・ポセイドン…。戦力差は余りにも大きすぎましたが、勇将ヘファイトスの尽力もあり、互角を維持しつつもアフロディーテ・ポセイドンの両名を討つことに成功しました。でも、こちら側も無傷という訳にはいきませんでした。ハデスの戦死、さらに主要拠点の大半は向こうが掌握という圧倒的に不利な状態。それでも、私達は諦めずに戦い続けていました。しかし、戦況を大きく左右する出来事がありました」

「それは…?」

今にも泣き出しそうな様子のメーティスさんだが、それをぐっと堪えているのがよく伝わる…。

「ヘファイトスの戦死です。軍全体の損失はもちろんですが、味方にも精神的なダメージも大きすぎました。その結果…ペルセポネの戦死。それが決定打となり前線の維持が困難となりました。そこで私達は苦渋の決断…つまり、人の協力を仰ぐ事を決めたのです」

「事情は理解しました」

つまり、神々の戦争が起きている。そしてメーティスさん側が現在劣勢の為、俺で戦力を補おうと言う訳だ。戦争、という言葉に身体中から冷汗が湧いて出てくる。

協力出来るのか、俺に…?先ほどまで固かった意志が僅かに揺れ動く。

「やはり、人の子には重荷が過ぎたでしょうか…。協力の有無は貴方の自由です。

改めて、今一度問います。人の子、山邊潤よ。私達に協力してくれますか?」

協力する、とは戦争に参加するという事になる。03も神罰には反対している。

反対しているからこそ無表情で身勝手な子だけど、あの子のお陰で俺は自分の知らない体験を多くしている。今だって、そうだ。そんな、恩人が困っているのなら助けたいけど、戦争に参加するというのは恐怖でしかない。しばらく逡巡して、ようやく答えを出す事が出来た。

「俺は…」

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