第6話 決断
「俺は…」
言葉の先が出て来ない…決意は固まっていてもまだ覚悟が足りない、という事なのだろう。深呼吸をして、もう一度ゆっくり自分に言い聞かせながら少しずつ言葉を紡いでいく。
「俺なんかで良ければぜひ協力させて下さい」
「まぁ、まぁまぁ本当ですか!ありがとうございます」
メーティスさんは満面の笑みで恭しく頭を下げた。
「さて、そうとなれば私達の仲間を紹介しなくてはいけませんね。アテナ、ヘリオス…皆を貴方を歓迎する事でしょう。それに実は、貴方以外の人の子も実はいるんですよ」
「本当ですか?!」
俺以外の人もいる、というのが今日一番の衝撃かもしれない。
みんな、俺みたいに連れてこられたのかな、そう思うと少し気の毒に思えてきたのだろうか…。
「ええ、ですが仲間の紹介の前に貴方には必ずやってもらわねばならない仕事があります」
「仕事…?戦うに当たりの体力テスト、とかですか?」
協力するとは言っても当たり前だが剣など振り回した事など無い。
「その点に関してはご安心下さい。貴方自信が直接戦うわけではありません。戦いは機兵を操作してもらうだけなので。また、そこに関しては後ほど説明させて頂きます。仕事、というのは03、あの子へ名前を付けて上げて下さい」
「03,というのは名前ではないんですか?」
「03,は仮名に過ぎません。まだ、正しい名前を持っていません。貴方が付ける事で、正しい意味で彼女は彼女になれるのです」
正しい意味での名前が無い、というのは気になるがそこはまた追々聞いていくことにしよう。拘束を外していくメーティスさんを横目に、彼女の名前を考える自分とこんな大役を自分がしていいのだろうか?と相反する考えの間で揺れる。
「さて、03。いよいよ、その時が来ましたよ。心の準備はよろしいですか?」
「無論です。潤、ありがとうございます」
「フフッ、初めて嬉しそうな表所を見せましたね。さぁ、彼女にいい名前を考えてあげて下さい」
クスッとそう微笑み、彼女と俺を向かい合う形にする。
何の躊躇いもなく従うというのは彼女の覚悟は最初から決まっているということなのだろう。俺も早く覚悟を決めなければ、そう強く思わされる。
さて、付けるとしたらどんな名前がいいだろうのか…。
初対面のイメージの影響でミサイルが頭から離れないが、仮にそのような名前にしたら…考えただけで震えが止まらなくなってきたので止めておこう。
それにしても難題を貰ったもんだ。
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