第3話 鋼鉄の微笑
朝になり、昨日の出来事は無かったように普通の日常が始まった。電車…はさすがに昨日の今日なので学校の送迎バスで登校している。結局、朝になったけど例の少女は現れてない。そもそも、現れるのだろうか? 周りの喧騒をよそに、ぼんやり考えていた…が杞憂だったとすぐに俺は身を持って知る事になる。
「おはようー!」
「おはよう」
クラスメイトからの挨拶を短く返しながら、自分の席へ向かうと
「おはようございます。22分と41秒の遅刻です」
その子はいた。高校の制服を着てはいるが紛れも無く昨日、突然に現れた彼女だ。
「どうして、ここにいる…?」
「学生ですから」
「嘘つけ!空から降ってくる女子高生がいる訳がないだろ」
「はい、嘘です。こういう場所の方が人が多いので協力者も見つけやすいだろう、と潜入しているのです」
潜入…そして協力者、口を開けば似たような事ばかりしか言ってない。そして、俺は昨日この子と約束した…協力をする、と。一体、何が目的なんだ?
「それで、俺は何に協力すればいいんだ?事情を今日、話してくれる約束だったけど」
「そうですか。もう、聞いちゃいますか。では、覚悟はよろしいですか?」
覚悟…その言葉に今から自分が得体の知れない、もしかしたらヤバイ世界に足を踏み込む事になるという事を本能が察した。だが、俺の口から出た言葉は「覚悟なんていらねぇよ。楽しそうだから協力する。それで十分だろ」
「フフッ。分かりました。では、失礼します」
あれ、笑った?そう思った矢先、鳩尾に鈍い痛みを襲った。薄れゆく意識の中、聞こえるのは
「きゃー。山邊君が倒れましたー。私、保健室へ運んできます」
という彼女、ざわざわと騒ぐ他の生徒達の声だった。俺、どうなるの…?
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