第2話 初めての

 さて、謎のミサイルレディ(仮)と謎の邂逅を果たし、変な約束を取り付けた…がここからが地獄だった。例の電車横転事故に伴い、付近にいた俺は警察の事情聴取を受ける事になったのだが…

「だーかーらー!何度も言わせないで下さい!爆心地らしい場所に女の子がいたんです!んで、その女の子は空をビューンって飛んでどこかへ行ったんです!」 

と事実を述べているが、警察は誰も信用してくれない。当たり前だ、俺だって信じられないのに。

「お兄ちゃん、大人をからかわないでくれよー。女の子がいた、なんて言う目撃証言も無いし、人が空を飛んで行った、なんてどこのサーカス団だよ。もう1回よーーく思い出してご覧。何を見たんだ?」 

このやり取りも5回目以降は数えてない。

「もういいですよ、芝崎さん。見ているこっちが疲れてきました。この子は無関係の空想癖の子だった、そう調書に書いときますんで」 

「そうかぁ?いやぁ、悪いねー」 

無関係どころかめちゃくちゃ関わってます。なんなら、犯人と約束しました!

と言っても信じて貰えんだろうなぁ…

「お兄ちゃん、悪かったね。今日はもう帰っていいから」

「あ、そうですか」

「ご協力、感謝します。また、後日改めて話を聞きに伺うかもしれませんがご了承下さい」

え、また? また、この話をしろと?考えただけで胃が痛くなる…。

「時間も遅くなりましたし、家までお送りしますよ」

帰りたくない、その言葉が口から出そうになったが、ぐっと堪えた。警察の車で家まで送って貰ってる道中、暗い夜道を小さく照らす外灯の美しさ。

昼間とはまた違った、駅の雰囲気。そのどれもが新鮮で楽しかった。

「明日、あの子にお礼を言お」

散々な一日だったけど、この景色が見れただけで俺は満足だ。

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