第18話 求めるモノの先は…
階級は大きく分けて将校、佐官、尉官と下士官から構成されており、
将校は中将、少将、准将
佐官は大佐、中佐、少佐
尉官は大尉、中尉、少尉。そして下士官は曹長、軍曹で成り立っている。
それぞれの階級ごとに行使できる権限、閲覧できる資料が決められているそうだ。
「俺は佐官に該当するからそれなりの自由は認められているってこと…なのかな」
「ああ、そうだな。概ね、その認識であってるよ」
「ということは、二年前のより詳細な資料も……」
「さてな。尉官という立場上、閲覧できる資料の制限もあるが俺自身が過去の資料とか見る方じゃないらそこら辺はわからん。あとで行ってみるといいだろ」
「そうですね。そうします」
あの日、なにがあったのか実はよく知らない。
自分が経験したことと後日談というかたちで表向きに公表されていることしか知らない。もし、自分の知らないなにかがあるのだとしたら。
「おい、色々考えるのは結構だがそのくらいにしとけ。あまり、関わっていい問題でもないのは知ってるだろ」
「でも、生き残った人間としてあの日の真実を知りたいんです。家族、友人を一気に失った人間の気持ちがあなたにわかりますか?!」
「そう言われたら反論しにくいが、だが冷静になれ。
なぜ、お前がそこまで破格の待遇を受けているのか。そこに伴うリスクを少しは考えろ!」
「リスクがたとえ大きなものであっても俺はやらなければならないんです」
「どうしてだ。理由を言え。上官に反抗するのは慣れてる、その結果降格も慣れっこだ」
石崎さんは壁のように立ちはだかる。
体格もそれなりに大きいので本当の壁のようだ。
力ではどうあっても敵わないのは目に見えてる。どうやら話すしか俺に選択肢はないようだ。
「友人が一人、敵に拉致されてます。拉致したのも友人だったヤツです。
今、二人がどこでなにをしているかもわからないままです。もし、その拉致したヤツがあんな事件を起こしたのなら俺は絶対に許さない」
「復讐か…」
「はい」
「即答とは恐れ入った。やれやれ、そういう事情なら止める理由は俺にはないな」
石崎さんはそう言うと申し訳なさそうにデスクに腰を下ろした。
「資料室はここを出て右の突き当りにある。それとズボンのポケットに寮の部屋の鍵が入ってる。気が済んだら帰ってこい。寮の場所は…………」
と詳しい場所の案内をしてくれた。
俺はそのことに一言、お礼を言って部屋を出た。
もし、彼女の手がかりが分かったとしてそのあとは。
「そのあとは…どうすればいいんだろ」
ここに来て考えていなかった命題に直面し、俺は深く悩まざるをえなかった。
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