第21話 このままでは全滅する!何とか間合いに入らねば
突如として森の中から現れた千匹の猫に我が目を疑い、立ちすくむ三人組だったが、やがて、気を取り直し、
「ここで会ったが百年目」
「みな殺しにしてやる」
「これだけの猫がいれば、楽しめそうだ」
と、スリングショットを持った男が、ウエスト・ポーチからパチンコ玉を取り出した。
「スリングショット!」
と、もの知り猫のリューが
「何?それ」
パチンコと呼ばれる玩具の威力を高めた
構造は原始的だが、たかがパチンコと
そのスリングショットを構えた男は、標的を求めるように、ゆっくり、左右を見ましている。
不用意に出て行けば、
「あたしが
と立ち上がった横を、一匹の白い猫が、
「オレが
と走り抜けていった。白猫のジョーだった。
ビシッ
と、むちを打つような音とともに、パチンコ玉が、時速三百キロで飛んだ。
速すぎて、
ところが、ダッキングすべく速度を落としたのが災いした。別の角度から連射された電動マシンガンの
白猫ジョーは立ち止まり、上半身のみ左右へ動かし攻撃をかわすボクシングのウィービングで、次々とBB弾をよけた。
そこへ、不幸が襲った。立ち止まり、ウィービングで弾を
「うっ」
と白猫ジョーは、突き飛ばされたように倒れた。
「ジョー!」
あたしは思わず飛び出した。
スリングショットも、ピストルクロスボウも、第二弾を発射準備(コッキング)するまで、数秒かかる。
その隙を逃さず、カシラのジロチョーが、
「かかれ!」
と号令をかけたが、
「しまった」
と、あたしは、後ろを振り返って、ほぞを
背後で、ボス猫ハローの
「われ、ここらで男にならにゃあ、もう、舞台は回って
と、手下たちへ
迫る千匹。
迎え撃つ三人。
その時、棒状のスタンガンを持った男が、戦闘服のカーゴ・ポケットから、フラッシュライトを取り出した。
「あれは!強力な
目くらましの効果を知っていたあたしは、
男は、千匹の猫へ向けて、フラッシュライトを照射した。
「まぶしい!」
「見えない!」
まばゆい光が視界を奪う。
目がチカチカして、歩くことさえ
スタンガンが
動いている猫には、スリングショットの弾や、クロスボウの矢が飛んでくる。暗視ゴーグルをつけているだけあって、狙いは正確。
猫たちは、置き物のように、たやすく感電させられ、あるいは、撃たれ、次々と倒れていった。
このままでは全滅する。
「なんとかして、
間合いに入って、接近戦になれば、飛び道具など役に立たない。
しかし、間合いに入ろうと動けば、矢か、弾が飛んでくる。
戦況は不利で、八方ふさがり。
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