第16話 キティ組の若いモンが殺られたって?
▼▼ 筆者注 ▼▼
この16話から23話は、戦闘シーンが苦手でしたら、読まないほうが無難です、24話までお進み下さい。24話から御覧になっても(7話分とばしても)繋がるストーリーになっています。
▼▼では、どうぞ、お進みください▼▼
飲まず食わずで、一晩中、宙吊りになっていたシャドーを、念のため、動物病院へ連れて行くことにした。
動物病院の前は、黒山の猫だかりで、
「こんなに混んでいる動物病院を見たのは、初めてですよ。どうしたんでしょう?理由が分かりません」
と、もの知り猫のリューが困惑していると、黒猫クーも、
「院内だけじゃなく、外まで、猫が
と驚いている様子だった。そこへ、
「おおう?黒猫のクー坊じゃねえか」
と、クリーム色の猫が近寄ってきた。
顔の中心部のみ黒く、全体的にクリーム色ということは、シャム猫の混血種なのだろう。
細身のシャムにしては筋肉質だが、無数の
黒猫クーも近寄って、
「あっ、カシラのジロチョー。この混み具合は、どうしたの?」
「どうもこうも、ヘタすりゃ、戦争になるかも知れねえ」
と、
「ウチの若いモンが、矢を打ち込まれて、
「え!」
あたしたちは顔を見合わせた。あの時の断末魔の悲鳴は、やはり、猫だったのか!
「そいつを、ここへ来る途中のカクサーが見つけ、運んできてくれたってワケよ」
矢を打ち込まれたとなると、人間の仕業であることは明白。
「奴らの仕業に違いない」
と、あたしが
「
と
「姐さん!ちょっと来ておくんなせえ」
と言い捨ててから、病院前にたむろしている猫たちへ向かって、
「やい!てめえら、道を開けろ!」
とカシラのジロチョーが命じたとたん、海が割れたように、一本の道が、病院の玄関へ
「さ、さ、こちらへ」
両側を
病院内へ入ると、診察室へ通された。診察台の上に、矢の突き刺さった猫が横たわっている。
その猫を見下ろすかたちで、
気難しそうに口元をヘの字に結んでいるのは、エキゾチックという種類の猫の特徴である。
エキゾチックは、いつも困っているような、怒っているような、泣いているような、感情を読み取りにくい顔で、ムッツリしている。
その猫の元へ、カシラのジロチョーが進み寄り、何か耳うちしたかと思うと、エキゾチックは、
「何じゃと?」
と、あたしへギョロリと視線を向け、
「そいつは
と、深々と頭を下げた。
黒猫クーがヒソヒソ声で、
「あのエキゾチックは、この島で最大の縄張りを持つ、キティ組のボス猫ハローだよ」
と
「わしゃあ、ハローっちゅうモンじゃあ」
と名乗った。
あたしも負けじと
「あたしゃあ、三毛猫のミーっちゅうモンじゃあ」
と自己紹介した。
ボス猫ハローは笑って、
「面白い
「見えなかった。いや、見る余裕さえなかった」
「ほうかい」
「
「それじゃあ、見たとしても、
見ていないと答えているのに、見たとしたら?と仮定するあたり、相手の言葉を容易に信用しない用心深い性格が
「唯一わかっていることは、クロスボウという飛び道具を持っていること」
と証言し、横たわった猫に突き刺さっている矢を
「あの武器には、
と、正直な感想を
「そがな考えしとると、
と忠告した。
「
「そうね」
確かに、あの時あたしは、戦わず、逃げようとした。もしかしたら、逃げて逃げまくった
たとえ戦ったところで、殺されていたかも知れない。いずれにしても、殺されていた可能性は高い。
ところが、殺されたのは、あたしじゃなかった。
言い換えれば、あたしの身代わりになった猫が、今、目の前に、
「許さない」
怒りに身を震わせていると、黒猫クーが、
「冷静に、ね?」
と抑止した。しかーし、しかし燃え始めた怒りの炎は容易に消えない。
すると、カシラのジロチョーが、
「お
と、フーッと牙を
ボス猫ハローも
「わしらが
「あたしも、やるよ」
それを聞いた黒猫クーと、もの知りリューと、ロシアンブルーのシャドーの三匹が、
「エッ?」
と驚いた。
「一人でも、やる。最初に狙われたのは、あたしだからね」
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