本編あらすじと見せ場
★←このマークが付いている部分が特に大きな見せ場です。
――イザホとマウ――
車に乗っていた死体の少女「
彼女の母親が持病により余命宣告されたため、心配をかけないように自立するため、イザホとマウは住んでいた屋敷を離れたのだ。
母親が死ぬ直前に、立派になった姿を見せに戻ってくると約束して。
★――迷い込む裏の世界――
イザホとマウを載せた車は、鳥羽差市の山の中に入った。
その中で、あるトラブルによりふたりは裏の世界へと迷い込んでしまう。
季節外れの雪山、動かなくなった自動運転専用の車、奥で見つかる怪しげな館、その中で額縁に飾られた10年前の事件の新聞……
そして、イザホに殺意を持って襲いかかる謎の少女。
イザホとマウは謎の少女から命からがら逃げ延び、裏世界から脱出する。
――夜道探偵事務所――
鳥羽差市に引っ越した翌日、イザホとマウは仕事場である“夜道探偵事務所”を訪れる。
その探偵事務所の所長「
その依頼は、行方不明となっている女子高生の捜索。
先日に体験した、裏の世界を手がかりにイザホたちは調査を始める。
それが、街で起きている奇妙な事件に足を踏み入れた瞬間だった。
――ようこそ鳥羽差市へ――
この街でなにが起きているのか。それを知るために、イザホたちは街を駆け巡る。
学校、病院、港、マンション、墓場、図書館、紋章の研究所、山奥、そして裏の世界。
そこでイザホとマウを待ち受ける、住民たちとの出会い。
暗い顔の刑事、二足歩行の犬の警察官、たびたび姿を変えるファッションデザイナー、紋章をまったくつけていない小学生、研究に熱中する紋章研究者とストーカー気質な研究助手、空気の読めない図書館員と怠け者の猫、人間不信なレストラン店主、明るいようでどこか謎めいた女子高生……
その出会いは時にイザホの支えとなり、時に障害となりイザホの前に立ちふさがる。
★――街の裏側へ――
行く先々で、イザホとマウは裏側の世界へと引きずり込まれる。
そこで待ち受ける罠、そしてイザホを狙う者たち……
裏側の世界の中でも手がかりを追い求めるふたりは、やがて裏側の世界の真相を知ることになる。
裏側の世界に広がる、とある場所の中で。
★――蘇るバフォメット――
辺り一面を炎で覆われた森の中で、イザホの目の前にそれは現れた。
10年前の事件を引き起こしたと言われている、羊の頭をした人影………
バフォメットだ。
手に持つギロチンのように巨大な刃物は、周辺の火の海を写し出していた。
★――死体人形は過去の夢を見る――
イザホは鳥羽差市に来てから、過去の自分の夢を見るようになる。
10年前の事件の被害者の遺体。それぞれ部位がひとつしか残されていない6つの遺体でも、組み合わさればひとつの人の形となる。
右手だけ残された被害者の母親は、医者に他の遺体も引き取り蘇らせるように悲願する。他の被害者の遺族たちはそれぞれの考えから引き取りを拒否したため、右手の母親の望みは聞き入れられた。
それぞれ他人のものだった部位が糸でつなぎ止められ、ひとつの死体となった。
そこに、次々と紋章が埋め込まれていく。物が動き出す紋章、人間と同等の知能を与える紋章、人格をつかさどる紋章……
そして、右手の持ち主の記憶を埋め込む直前、母親は記憶を埋め込まないように叫んだ。たとえ記憶を引き継いだとしても、それは娘ではない。娘の記憶を持った別人だ。他の被害者が引き取りを拒否したのも、それを理解していたからだ。
記憶の紋章を埋め込もうとした医者はたずねる。「それならなぜ蘇らせるのか」と。母親はこう答えた。
「娘の生まれ変わりとして、育てるためによ」
残りの紋章が埋め込められると、つなぎ合わせの死体のまぶたが開き、紋章の埋め込められた義眼が現れた。
作られたばかりのアンドロイドのように呆然とする死体に、母親はやさしく抱きしめ、名前を呼んだ。
6人の被害者の遺体をつなぎ合わせたその死体の名は、「屍江稻異座穂」
――死体となった魔女――
殺人事件の遺体が蘇った存在ではなく、彼らから生み出された新しい命。
蘇ったゾンビではなく、作られたフランケンシュタインの怪物。
記憶を移植されなかったことによって、自分を探すはめになった死体。
自身の存在に葛藤を抱きながらも、イザホは愛する友達であるマウとともに、鳥羽差市と裏の世界をさまよう。
その先に見えるのは、10年前の殺人事件と現代の失踪事件の真実。
その道に炎が立ちふさがり、死体を火葬しようと手を伸ばす。
その手を振り払い、イザホは古城にたどり着く。
死体になった魔女は、自分だけの世界を写し出す。
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