第4話

 街の入り口から全力で走って数秒、街の中心付近にある冒険者ギルドの広場へと辿り着いた。


 冒険者ギルドは大きな広場と受付の建物があり、大きな広場では酒を飲んでる奴らや新しく登録した新人にちょっかいかけてくる奴もいたりする。

 そして受付では持ち込んだ素材ーー魔物の死体や鉱石等を買い取ってくれたり、依頼を達成し冒険者ランクを上げてダンジョンに潜る資格を手にすることもできる。


 俺の目的はさっさとS級冒険者まで上り詰め、S級ダンジョンへ潜り、レベルを上げることだ。


 俺は広場を通り越して受付へ向かう。


 受付には若めの女性がいた。

 

「ようこそ冒険者ギルドサントミラル支部へ。冒険者への依頼ですか?」


「いや、冒険者登録をしに来た」


 すると周囲の酒を飲んでいる男たちが突然笑い始めた。


「そんなガキが冒険者になれるわけねぇだろ? 帰った帰った」


「申し訳ございませんがそちらの冒険者様の言う通り16歳未満はステータスを未取得のため危険なので冒険者登録ができません」


 そう言えば転職は16歳前でもわかるがステータスを取得しないとレベルも0から上がらず全ステータスも1も同然の力しかないんだったな。

 だが幸い俺は過去に戻る前のステータスを引き継いでいる。

 冒険者登録はできるはずだ。


「ステータスは取得してあるから冒険者登録はできるはずだ」


「本当ですか? 少々お待ちください」


 受付の女の人が奥に行くと水晶を持って出てきた。


「この水晶は天職レベルを表示する道具です。この水晶に手を乗せてください。ステータスを取得してあるのならレベルが1以上になるはずです」


「わかった」


 レベルはバレるが今は時間がない。

 俺は水晶に手を乗せた。


 すると俺のレベルが天職と共に表示された。


【 村人 レベル100 】


「む、村人!? しかもレベル100ーー!?」


「冒険者ギルドには天職とレベルを大声で言う必要でもあるのか?」


「も、申し訳ございません! すぐに冒険者カードを発行させていただきます」


 再び受付の女の人が奥に行くと数秒後に俺の名前と共に大きくFと書かれたカードが渡された。


「冒険者のランク説明をさせていただきますね」


「いや、不要だ。魔物のランクと一緒だろ?」


「そ、そうですが……」


「S級迷宮に行くためにさっさとS級冒険者へと上がりたい」


「S級冒険者への昇格はSランクの魔物の3体以上の討伐を証明してもらう事です。しかしその前に必ずCランクの昇格試験は受けていただく必要があります」


 そう言えば盗賊を討伐して人を攻撃できるか、殺すことができるか証明するのがC級への昇格条件だったな。


「C級冒険者への昇格試験の日程は?」


「10日後ですが……」


「その昇格試験に出るのにD級にならないといけないんだろ? 明日にはDランクの魔物を必要数持ってくる」


 D級への昇格はDランク以上の魔物5体を討伐証明すればいい。


 フットラビットはここからだとポゴロン村の近くが多く生息している。


 だったら一度村に戻った方が良さそうだな。


 俺は全力で走って村に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る