第66話 テクニカル分析 (6) 値動き予測の技

値動き予測・売買判断に使える技

山下勁氏の書籍で提唱されているものをまとめてあります。

ただ、今からは少し古い書籍なので、そのまま当てはまるかどうか。

スイングトレードであれば適当である場合が多い。




(1)前の高値・安値


 株価は直前の高値を超えるか、直近の安値を割り込むと値動きに勢いがつきやすい。


 直近の安値は「前はここで下げ止まって反発したから、次も」と投資家が「買い」やすい。株価が直近の安値を割り込まずに反発したら「買い」。今まで届かなかった「前の安値」に届くと下落しやすい。


 直近の高値は「前はここで上昇が止まって反落したから、次も」と投資家が「売り」やすい。直近の高値を勢いよく突破したら、上昇する確率が高まって青天井に株価が吊り上げられることも。


 レンジ相場が三か月ほど続いたら、上がるか下がるかしやすい。そのとき終値で短期線を超えたら上がる。




(2)キリのいい株価(節目)


 人間はキリのいい数字が好きです。

 株価もキリのいい数字で上値抵抗線にも下値支持線にもなる。

 ゆえに一度キリのいい数字を突破すると、さらに上のキリのいい数字がひとつの目安になる。

 直近の高値がキリのいい数字だったら、「売り」要素が二つ揃うので、「売り」が成功しやすい。




(3)トレンドは短期線と中期線で判断する


 中期線が上向きなら「買い」、下向きなら「売り」と、中期線の傾きに応じて売買の方向性を変えましょう。


 短期線が中期線の上にあって、ともに右肩上がりのときは上昇トレンド。

 株価や短期線が一時的に下落して、中期線まで落ちてきたあとに反発した局面は「押し目」の「買い」チャンス。


 短期線が中期線の下にあって、ともに右肩下がりのときは下降トレンド。

 中期線が前の高値同様に抵抗帯になりやすいので、株価が中期線で下に跳ね返されたところは「売り」で入る絶好のポイント。




(4)レンジ相場 2〜3カ月ももたない


 前の高値も超えず、前の安値も下らずに狭いゾーンで株価が揉み合っている相場は細かく稼げる。




(5)価格帯別出来高


 過去の高値・安値・もみ合いゾーンが上値抵抗帯、下値支持帯としてどれくらい強いかは「価格帯別出来高」でもわかる。

 価格帯が集中しているところは頻繁に売買された証で、上値抵抗帯・下値支持帯として働きやすい。

 逆に価格帯に隙間があると急騰・急落が起こりやすくなる。




(6)トレンドが継続してきた期間


 レンジ相場や上昇トレンドは2〜3カ月ほどじわじわと続く。反対に下げ相場は1〜2カ月でドスンと落ちる。


 高値圏で急上昇したあと逆Vの字を描いて急落する尖った値動きが出やすい。

 株価が大底を打って上げ始めるときはだらだらと何度も安値をつけて横ばいになったあと、ゆっくり上昇する傾向が強くなる。




(7)新値更新の術


 「新値」とは、前日まで下げだった株価が、前日終値を超えて短期移動平均線をゴールデンクロスして陽線で上昇したら「買い」。


 逆に前日まで上げていた株価が、前日終値を下回って陰線で下落したら「売り」。


 上昇新値は下げ局面のあと、株価が前日終値を上回って最初に出た陽線を「1」と数え、次に「1」の陽線より終値が高い陽線が出たら「2、3、4、5、……」とカウント。

 途中に出現した陰線はたとえ始値・終値ともに前の陽線を上回っていても、勢いがないと判断して数えない。

 また同じ陽線でも高値更新していないものもカウントしない。


 逆に高値を更新した陽線の始値を下回るような陰線が出て株価が下落しても、その動きが2日以内なら、無視して新値更新継続と考える。


 ただし、新値更新の途中に、高値更新がないローソク足が3本以上出てしまって明らかに「相場が横ばいで推移し始めたな」と感じたときは数えるのをやめる。


 新値を更新するような上昇・下落の賞味期限はおよそ5日しかなく、5日間新値を更新したら株価は利益確定の反対売買で下げ止まり上げ渋りしやすい「新値更新(5日)の術」(山下勁氏の書籍参照)。

 とくにレンジ相場なら、上下動のサイクルは長くて5日。3日ぐらいしか続かないこともしばしば。


 「出口は新値更新5日後」と決めてしまえば、着実に利益確定できて,売り逃す心配もない。

 逆に「新値更新5日目だからそろそろ逆方向に向かう」と考えれば、少し逆張り気味にはなるが、高値更新5日後の陰線は「売り」、安値更新5日後の陽線は「買い」という新規エントリーの判断にも使える。


 レンジ相場を意識し、その下限を割り込まずに反発したときに「買い」でエントリーしていちばん下の陽線から数えて5日目の新値を更新したあとに陰線が出たら利益確定。


 逆にレンジ相場に達したあと、反落したら「空売り」して、いちばん上の陰線から数えて5度目の新値更新以降に陽線が出たら利益確定。


 なお「新値更新5日」といっても、「買い」ポジションを保有しているときに5日目以降も陽線が連発されている場合は「ほったらかし」で。陰線が出るまで利益確定する必要はない。


 エントリーに「新値更新5日」を用いる場合、他の条件が整っているのか確認。下降トレンドなのに、下限の新値から5日間経ってから購入しても、下降トレンドなのだから下がりやすい。


 「高値更新5日以降の陰線で新規空売り」という技は、下降トレンドの戻り売りやレンジ相場の上限売り、上昇トレンドがピークに達して下降トレンドへ転換する初動段階などでひじょうに有効。


 上昇の新値更新が5日続いた後に「そろそろ下がるだろう」という局面では、ほかの重要シグナルがいくつか点灯して、下がる確率がアップしたあとに初めて「売り」を入れる。


 下落なら新値更新した陰線の始値を終値ベースで上回るローソク足が出現したら、そのローソク足が陽線でも陰線でもカウント終了。新値更新回数が5日を越えたあとは、陽線が出たらすぐに利益確定。

 新値更新の意義は、株価の上下動のリズムをとらえること。リズムが途切れて株価が横ばいになっているなと思った場合も新値更新は終わりと考える。




【中期移動平均線折り返しの術】単独勝率6割程度


 「買い」なら、株価が中期移動平均線よりかなり上にあるとき、その移動平均線を跨ぐように陰線でぶつかって陽線で折り返したときは即座に「買い」。

 前日の陰線の終値を陽線の終値が越えたら見守る。その後は陰線が出た瞬間に手じまい。陰線が出なくても3日間経過したら手じまい。

 より成功率を高めたいなら、陽線で折り返して、前日の陰線の終値を越えるのを確認してから「買い」を入れるのがオススメ。



「買い」でも「空売り」でも、チェックすべきローソク足は3つ。「買い」の場合、


(1)1本目のローソク足は25日線の上にある。


(2)翌日のローソク足が陰線で跨ぐ形で、いったん25日線を割り込む。


(3)その翌日、今度は陽線で折り返して、25日線を上に突き抜ければ「折り返し」完成。(陰線の始値を抜いたと確認すれば勝率アップ) 。その日のローソク足の実体部分の上部(つまり終値)で買う。


(4)その翌日陰線なら手じまい。陽線が連発して上昇が続いても、陰線が強そうで買値を割り込みそうなら、買った値段よりも上で、現在の株価より下の値段で「売り」注文を入れておけば、最低限の利益を確保できる。

 陰線が出始めたとき「逆指値注文」で○○円を下回ったら「売り」注文をしておくと利幅を稼ぎやすい。もし日足が下落している局面で新値更新5日を満たせば、下降トレンドが一休みと判断。


 この技の出る前に新値更新が続いているようなら「新値更新の術」が成立し、反発が望めるので2日目で陰線が出ても新値更新で3日以降の陰線で「売り」を入れてもよい。

 さらに移動平均線が上昇トレンドでも上昇が続く可能性があり、新値3日の陽線の次の陰線で「売り」。

 株価はキリのいい価格まで近づこうとするので新値3日の陽線でキリのいい価格に近づいたら「売り」。


(5)最初の陽線から数えて3日目には利益確定する。つまり(3)から3日目で利確。

 ただし、この技は移動平均線と株価がかなり離れた状態から急に近づいて、陰線で割り込んで陽線で折り返し、その陽線で突き抜けたらようやくシグナル成立。そこで「買い」を入れて陰線が出たら(出なくても3日以内に)手じまい。

 3か月以上ぶりの75日移動平均線へのタッチか接近であれば「強い初手」になる。

 注意してほしいのは、中期と長期の移動平均線が上下にもつれあう形になって、株価がその間を行ったり来たりしているような状況はNG。

 つまり「移動平均線折り返し」は中長期線の距離が近づいて株価が移動平均線に絡みつくような状態になると、使いづらくなって勝率も下がる。




【上昇トレンドの初動段階】勝率をアップさせる

 株価が上昇を続けている間は中期や長期の移動平均線からどんどん上に離れていくもの。

 逆に近づいてきて「移動平均線折り返し」が発生すれば、上昇トレンドが一服となる。

 そのあとの陽線折り返しで「買い」を入れるので、結果的に「押し目買い」になる。


 当然、中長期移動平均線を陰線で割り込み、そのまま陰線が連発すると上昇トレンドが終わって下降トレンド入りする。中長期移動平均線が右肩上がりの場合はまだ上昇トレンドが健在と考えられる。

 つまり「移動平均線折り返し」技では移動平均線の傾きもたいせつ。




【レンジ相場の下限割れ】【直近安値割れ】ならさらなる「売り」シグナルとなる確率が高まる




【長期移動平均線と株価がぶつかる回数は中期より少なく頻繁に起こらないが大きな利益のチャンス】

 そのぶん前の高値・安値やキリのいい株価などもプラスした複合シグナルになりやすく勝率アップ。


 株価が長期線になかなかタッチしないのは、上昇や下降など一方向トレンドがずっと続いてきたとき。

 そんな両者が接触すると、トレンドが弱くなる。

 そのままトレンド転換が起これば、75日線にタッチするだけでなく、割り込んだり突き抜けたりする可能性もある。

 大損するリスクはあるが、半年以上も離れていた長期戦に一度タッチしただけですぐにトレンド転換してしまうほどトレンドは「やわ」ではない。

 いったんは、これまでのトレンド方向への戻りを試される。


 これが二度目、三度目のタッチになるとさすがに従来のトレンドの勢いがどんどん弱まって、もう折り返す力もないままトレンド変換してしまうケースが増える。

 「3カ月以上ぶりに長期移動平均線にタッチしたとき」の「移動平均線の折り返し」はシグナル通り、折り返すことがひじょうに多い。


 「長期移動平均線折り返し」に「3カ月以上ぶりの長期移動平均線タッチ」が重なると勝率は7、8割に。


 高値圏でのレンジ相場が続いており、その中で出来た直近安値を下回った陰線が出たとする。

 これは高値圏から急落するときによく起こる「安値ブレイク」のシグナル。これに「新値更新の術」を加えて判断すれば勝率は上がる。




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