第45話 PERは割高・割安を知る指標ではない
皆様はPERという指標をご存じでしょうか。
PER(Price Earnings Ratio)つまり「株価収益率」を表します。
株価が、EPS(Earnings Per Share)「1株あたり純利益」の何倍まで買われているか、つまり1株あたり純利益の何倍の値段がつけられているかの指標です。
中長期トレードの書籍にはよく「PER15倍が適正で、20倍以上は割高、10倍以下なら割安」などと書かれています。
しかし、実はPERは株価の割高・割安を表す指標ではないのです。
こう書くと株式の達人からお叱りが来そうですが、実際にPERで株価が割高・割安を判断できないのです。
上記の「PER15倍が適正」においても「業種や同業他社と比較しなければならない」とされています。
つまり「割高・割安」の指標のはずなのに、「他と比べないと割高か割安かも判断できない」代物なのです。
ではPERでなにを知ればよいのでしょうか。
ズバリ「株式の人気度」です。
人気銘柄はPERが20倍にも50倍にもなります。
不人気な銘柄はPERが10倍や5倍、2倍なんていうものも存在します。
つまり人気化していれば株価が高まり、結果としてPERが高くなるのです。
人気のない株は買い手がいないので当然安くなりますよね。そうなれば結果としてPERは低くなるのです。
だからPERが40倍だから割高では人気銘柄に乗れず、5倍だから割安では不人気銘柄を買っていつまでも売れなくなってしまいます。
PERは「株式の人気度」を表しているので、銘柄選びの際にはPERが高いほうが結果的に儲かる可能性が高いのです。
それだけ「今、勢いのある銘柄」なのですから。
もし決算が出て純利益が前年の二倍に膨れ上がったら、PERは半分の倍率まで落ちます。
決算発表前までPER50倍の人気銘柄でも、純利益が2倍になったらPERは25倍まで減るのです。
しかし元々人気銘柄です。純利益が2倍になったら、その前以上に人気を集めるはずですよね。
すると「25倍」は割高ではなく割安を示しているはずですよね。
元の人気を取り戻すなら株価が2倍になって「PER50倍」に戻る可能性すらあります。
まぁ小型株ならこのようなビビッドな動きをしますが、大型株では純利益が2倍になるなどはほとんど起こりえません。
だから、相対的に「株式の人気度」を表している、と憶えていただけたらと存じます。
おそらくFP(ファイナンシャル・プランナー)資格で「PERは人気度」と答えると誤答になりますので、形式上の「PERは株価が1株あたりの純利益の何倍かを表していて、株価の割高・割安を見分ける指標」という建前も憶えておいてくださいね。
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