第44話 指値買いはしない(下がっている株は買わない)
それがたとえどんなに優良な銘柄であっても、株価が下がっていたら買ってはなりません。
今下がっている銘柄は、買ってもそのまま下がる可能性が高いのです。
もしあなたが大金持ちで、売り注文をことごとく買い支えられるほどであればなにも言いますまい。
しかしたいていの方はそんなにお金持ちではないはず。
「これから稼ごう」と思っている方は、どうやって株式を買えばいいのかわからないので、とりあえず今の株価より安く買いたいのでそれより安く指値を入れます。
そうしていざ買ってみると、株価はみるみるうちに下がっていく。
株式取引の初心者あるあるです。
なぜ初心者が買うと株価はそこよりさらに下がっていくのでしょうか。
それは「下がっているときに買っているから」です。
株式取引では、絶対に下がっているときに買ってはなりません。
完全に下がりきって反発するところを買うのです。
相場格言に「落ちてくるナイフは掴むな」というのがあります。
これは「株価がみるみる下がっていく途中で買うのは危険が多い。床に落ちて動かなくなってから掴めばよい」という意味です。
この格言自体は有名なのですが、株式取引初心者は知っていながら「株価が下がっているときに買って」しまいます。
そもそも「指値をして株式を買う」というごく普通に株式取引ツールで実装されている機能を使ったにもかかわらず、禁忌とされる「落ちてくるナイフを掴む」をやらされてしまうのです。
本当にどうなっているのでしょうか。
株式取引において、利益を上げられるのは全体の1割ほどとされています。
残りの9割は損を出しているのです。
しかもたいていは最初の取引で大損を喰らいます。
だって「指値買い」しているのですから。
本備忘録で何度か触れていますが、「指値買い」は「落ちてくるナイフを掴む」行為なのです。
株式取引の原則をもう一度思い出してください。
株式の「指値買い」とは、「株価が1,000円まで下がったら買いますよ」ということです。
仮に今の株価が990円でも1,000円で買えますよね。
でも実際に990円の株式を1,000円で買う人がいるのでしょうか。
いませんよね。
スーパーでも必ずお釣りをもらうはずです。
では仮に今の株価が1,010円だったらどうでしょうか。
この株式を買うには「株価が1,000円まで下がる」必要があります。
「株価が1,000円まで下がる」とようやく株式が1,000円で買えるのです。
三回書きましたから気づかれましたよね。
そうです。
「株価が」1,000円まで「下がる」から買えた。
1,000円まで「株価が下がる」から買えたのです。
実際に株価は下がっているのです。
ではここが床だと誰が判断するのでしょうか。
株式取引に参加しているトレーダーの皆様の総意で決まります。
けっしてあなたひとりで「ここが床だ」と決められるわけではありません。
証券口座を開設して、株式取引ツールを使い始め、気軽に「まずは株式を買ってみるか」という段階。
ここからすでにあなたは証券会社と株式市場のカモにされてしまうのです。
「指値買い」という、いかにも「皆が当たり前に使っているだろう」機能のせいで。
ある程度株式取引の場数を踏むと、「ナンピン買い」の存在を知ります。
しかしここでも「指値買い」をしてはなりません。
もし「買値を切りがよい数字にしたい」という思惑があるのなら致し方ありません。
ですが「指値買い」をすれば「落ちてくるナイフを拾う」のと同じだと先ほど申しましたよね。
「ナンピン買い」は単に取得単価を切り下げるためにするのではないのです。
ここから株価が反発するから、半分でも株価が戻ればプラスマイナスゼロで撤退できる。
そういう戦術があるから「ナンピン買い」をするのです。
もし「まだ下がる余地がある」状態で「ナンピン買い」をすれば。
先ほども申しましたが、「下がってくる」株式を掴むのですから、当然株価は下がり続けます。
運よくそこが下げ止まりである可能性なんて、どう考えても50%を大きく下回るのです。
だから「ナンピン買い」でも「指値買い」は禁物なのです。
なぜ株式取引ツールのデフォルトが「指値買い」に設定してあるのか。
「なにも知らない駆け出し投資家を罠にハメるため」です。
最初の取引で勝ち残るトレーダーは1割ほど。
ほとんどの方が最初のトレードで「指値買い」をして損を出します。
その多くが大損となってしまうのです。
初心者であるほど「そのうち株価は回復して目標の株価まで上がるはず」と思ってしまいます。
しかし「買ったら下がった」。
現実を受け入れられず「持っていれば目標の株価まで上がるはず」と思い込むのです。
そうして気づけば大きな含み損を抱えて売るに売れず「塩漬け」にしてしまいます。
これで負け組の誕生です。
株式取引で九割が退場してしまうのも、そのほとんどが「指値買い」は「買ったら下がる」仕組みだと気づいていないからです。
気づいていれば「指値買い」なんて始めからしません。
株式取引の書籍で「指値買いしなさい」と書いてあれば買わないほうがよいのです。
良心的な書籍はすべて「成行で買いなさい」と書いてあります。
これから株式取引を始める予定の方は、ぜひ「株式は成行で買うもの」だと肝に銘じてください。
売るときは「指値売り」でもよいのですが、確実に売りさばけないおそれがあるので、目標株価に達していれば「成行売り」をオススメ致します。
最近の株式取引ツールでは「逆指値」という注文が出せます。
これは「指値」とは逆に働くのです。
「1,000円以上になったら買い」というように、基準よりも上に向かっていれば「買い」を実行してくれます。
もし東京証券取引所が開いている時間に相場を見れない方や株価の買値を意識している方であれば、「逆指値買い」を検討してください。
「上がっているときに買う」のです。
少なくとも「下がっているときに買う」わけではないので、勝率は高まります。
最後に重ねて書きます。
株式取引ツールのデフォルトが「指値買い」に設定してあるのは、
「なにも知らない駆け出し投資家を罠にハメるため」です。
お忘れなく。
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