第19話 このトレードでいくら儲けたいか

このトレードでいくら儲けたいか


 デイトレードにしてもスイングトレードにしても。

 「このトレードでいくら儲けたいのか」を明らかにしておかなければ、買いエントリーを誤るもととなります。


 たとえば「今日だけで50,000円儲けたい」と思ったら、デイトレードで50,000円を稼ぎ出さなければならないのです。


 仮に元手が100万円だったら、50,000円儲けるために株価+5%を達成しなければなりません。

 よほど好調な銘柄でないかぎり一日の値幅で5%をとるのは難しい。つまり現実的ではないのです。


 元手が100万円しかないのなら、高望みはせずよくて10,000円稼げばよしと割り切りましょう。1%の上昇ならそれほど苦労せずに達成できます。

 しかし元手が1000万円あったら、50,000円はたかが0.5%にすぎません。これなら株価のちょっとした変動をとらえれば達成できます。



 しかし多くの初心者トレーダーは「できるだけ大きく儲けてやろう」と欲をかくのです。

 元手100万円なのに今日も「できるだけ大きく儲けてやろう」とバクチのようなトレードに走りがち。


 どうしても元手100万円で一日に50,000円儲けたければ「信用取引」を活用する以外にありません。信用取引なら元手100万円をすべて担保に入れれば333.33万円までの取引が可能です。(正確には融資を受ける金額の30%を担保に入れなければなりません)。

 1,000円の株価なら3,300株ほどを動かせます。これで50,000円を稼ぐには株価が15.2円上げるだけで済みます。率にして1.52%です。

 これならじゅうぶんに達成できるでしょう。


 ですが信用取引の怖いところは、損失が出た途端に担保が元本割れして「追い証」がかかる点です。

 つまり全力を担保に入れてしまうと「追い証」が発生しても入れる資金がなくて、信用取引停止になる可能性があります。

 最低担保率は証券会社によって異なりますが、銘柄の買付価格の25%や20%が多いですね。

 株式トレードの初心者は信用取引をしてはなりません。一発退場の危険にさらされます。



 元手が1,000万円でも信用取引の333.33万円でも問題はあります。

 1,000万円ぶんの株式を購入できない相場もあるのです。


 たとえば現在の株価が1,000円の銘柄に1,000万円をつぎ込むと、なんと10,000株弱も買えてしまうのです。

 もし通常の商いで厚みが2,000株程度の銘柄だと5ティック前後も上げてしまう恐れがあります。しかも必ず買えるとはかぎりません。

 指値注文すると2,000株は買えますが8,000株を購入できない事態が発生するのです。

 成行注文なら確実に買えますが平均取得単価が1,000円を上回ります。


 だから大金を動かして利鞘を得ようと思ったら、板が活発な銘柄を選びましょう。

 株価1,000円に数万株の売りがあるような銘柄がターゲットです。



 株式取引では、絶対に「いくら儲けたいのか」の出口戦略が必要になります。

 「できるだけ大きく儲けよう」と思うと、売り抜けるタイミングを逸しやすいのです。

 それでは結局「いくら儲けたいのか」よりも儲けは少なくなりがち。

 だから必ず「いくら儲けたいのか」は設定してください。



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