第17話 株式取引の入門書の大きな欠点
株式取引の入門書の大きな欠点
株式取引の入門書の類いでは「短期移動平均線が中期移動平均線を右肩上がりで超えたら買う」「何日上げ続けたら利益確定する」「損失が拡大しないため傷が浅いうちに損切りする」などと書かれています。
これは過去の「市場」の取引をチャートで検証して、「こういうパターンのときはこうする」という「バックテスト」を示しているにすぎないのです。
決定的に欠けているものがあります。おわかりになりますか?
「バックテスト」どおりに売買したら起こる「株価の流れの変化」がまったく反映されていないのです。
つまり「この日足チャートを分析すると、ここが底なので次の日に買って、あそこが天井なので指値や逆指値を置いて利益確定すればよい」という売買が、実際には行なわれていません。
あくまでも過去のチャートの分析しか行なっていないのです。
実際に売買注文を出して約定したら「株価の流れが変化する」可能性にまで言及した解説書なんてどこにもありません。
それも当然です。過去に戻って実際に「売買」できるわけがないのですから。
たとえば一日の出来高十万株の銘柄に、もし一回で五万株もの売買が発生したら、どうなると思いますか?
おそらくとんでもない価格変動が起こります。
それに調子づいて買い方が勢い勇んで買い煽り、株価がどんどん上昇していくかもしれません。
逆に「高値にしてくれてありがとう。高値で売りさばいてキャピタルゲインを稼がせてもらうわ」と売り浴びせが起こって株価急落、なんてこともあります。
しかし株式取引の入門書では、「10万円を1億円に」とか書いているくせに、売買高がそれほどない銘柄のチャートを持ってきて「ここで買って、ここで売れば10%も儲かる」としか書いていません。
もし5,000万円の取引をしたら、小型株や出来高が少ない銘柄だと、市場に与える衝撃が計り知れません。
だから、株式取引の入門書は、せいぜい資金÷株価で出される株数が、日々の出来高の何割になっているのかが念頭になければ、まったく意味がないのです。
正直にいえば、日本の株式の個別取引だけで成せる財産は、せいぜい数千万円までです。
後は値がさ株のファーストリテイリング(UNIQLO)や任天堂、東京エレクトロン、レーザーテックなどや、売買代金上位の常連であるソフトバンクグループなどで市場にインパクトを与えるようになったら、そこで国内株式取引は限界に達します。
あなたが入門書で身につけた知識は、実践で役立つのは初心者の間だけ。という事実を受け入れてくださいませ。
中級者以降はそれに見合った作戦を練らないかぎり、東京証券取引所では安定したリターンは狙えません。
数千万円、数億円の資産ができたら、不動産取引を始めるか、米国株取引をするべきです。Apple、Amazon、Facebook,Alphabet(Google)、Microsoftのいわゆる「GAFAM」なら、億円単位でもじゅうぶんなリターンを期待できます。
だから、東京証券取引所で儲けられる限界がきたら、他のやり方へ移行するべきです。
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