第16話 勝率より実際の儲けがたいせつ
勝率より実際の儲けがたいせつ
儲けるためには「損切り」が不可欠だ。
これは揺るぎない事実です。
しかし頻繁に「損切り」していたら、そのうち資産がなくなってしまう。
そうお考えの方は「損切り」の値幅と、「利益確定」の値幅とのバランスがとれていないのです。
たとえば評価額△2,000円を4回「損切り」したとして、+10,000円の「利益確定」を1回行なえたら+2,000円の儲けになります。
つまり何回「損切り」しても、「利益確定」でそれを帳消しにできる利益をあげられさえすれば、株式取引の世界では「勝者」なのです。
ですが、書店に並ぶのは勝率を気にしている書籍ばかりです。
おそらく箔をつけたいのでしょうが、そんなやり方なんてまったく参考になりません。
たとえ99勝して1,000万円の利益をあげても、たった1敗で△3,000万円も負けてしまったら。
どんなに勝ち続けていても、最後の最後に△2,000万円となり儲けの倍のマイナスを食らうのです。
では「損切り」の値幅と「利益確定」の値幅のベストなバランスはあるのでしょうか。
残念ながら、どの銘柄にも当てはまる、魔法のようなバランスはありません。
実は、儲けやすい銘柄と損ばかりする銘柄が存在するのです。
それは「損切り」と「利益確定」のバランスで決まります。
たとえば上昇していた株価が何%か「押し」たら反発する。
その場合はその%ぶんは値下がりするのが当たり前です。
しかし多くの場合は再度上昇へ向かいます。
ですが、その%を超えて値下がりしたら、反発せずにそのまま下降トレンドに巻き込まれる可能性が高い。
であればそこが「損切り」ラインです。
一方で、上昇し始めた株価から何%上昇したら天井をつけるのか。
もちろん決まった%はありません。
そのときの材料次第で何%続伸するかが決まるのです。
であれば、よく天井をつける%を「利益確定」ラインと考えましょう。
ここまでには売り抜けないと、下降トレンドに巻き込まれます。
「損切り」ラインと「利益確定」ラインとのバランスを見れば、その銘柄が儲けやすいのか損ばかりするのかが判断できます。
たとえば上昇トレンド時に△1%の「押し」をつけたら反発していく。
△1%を割り込んだらすぐに「損切り」する。
天井をつけるまでに何回「押し」が現れるのか。
これを確認してください。
ちなみに基本的には「押し」の回数が多い銘柄には、特定の売り手による個人投資家の信用買いを返済させようとする強い意図が存在します。
何回「押し」たら天井をつけたのか。
上昇トレンド入りしてからその天井までの%を確認しておくのです。
そして「押し」×押した回数と「天井までの上昇%」を比較すれば、儲けやすいのか損ばかりするのかが判断できます。
先ほどの△1%の「押し」を3回つけて、「天井」までに+4%上昇している銘柄だとします。
ということは「損切り」の合計は△3%強であり、「利益確定」は+4%です。
儲けは+1%もありません。これが「損ばかりする」銘柄です。
もし△1%の「押し」を2回つけて、「天井」までに+5%上昇する銘柄ならば。
「損切り」の合計は△2%強、「利益確定」は+5%です。
これなら儲けは3%弱ですから、「損切り」を2回行なったとしても全体的にはそれを上回る儲けが期待できます。
もちろんここには取引手数料や金利・逆日歩などは織り込んでいません。
実際の取引には取引手数料がかかります。
1日100万円までなら手数料0円のネット証券会社もありますので、まずはそちらを利用して運用資産1,000万円以上を目指すとよいでしょう。
今回お話した「損切り」と「利益確定」のバランスが読めて確実に儲けが出るようになるまでは、「信用取引」は禁止致します。
金利・逆日歩がすでに1%もあるのなら、毎日+1%を超える「利益確定」をしなければならないようなものだからです。
そんな芸当は、手慣れた株式トレーダーでなければできません。
「損切り」と「利益確定」のバランスをチェックして、「儲けやすい」銘柄だけで勝負するようにしてください。
それに慣れるまでは「信用取引」はしないでください。
「現物買い」だけでも儲けが出せない株式トレーダーは、「信用取引」に手を出しても儲けは出せません。
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