第5話 板情報に今の人の欲望が表れる
「株式取引」でとくに短期売買をする方は「板情報」を読めないと勝てるようにはなりません。
「板情報」には、この銘柄に参加しているプレイヤーの思惑が表れているからです。
証券口座を開いたら、証券会社のWebサイトや取引専用アプリなどで「板情報」が見られるようになります。
数日から数週間を目処とする「スイングトレード」や、中長期間保有する「株式投資」では「板情報」のありがたみがあまりありません。
上記したように、「板情報」が表しているのは「今」だからです。
それでも、いっぱしの「投資家」を名乗りたければ「板情報」を読めないなんて恥でしかありません。
そのくらい「株式取引」の基礎が「板情報」には載っているのです。
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板情報に今の人の欲望が表れる
「板情報」というものが「株式取引」にはあります。
「1,000円なら300株売りたい」「1,100円なら200株売りたい」「1,200円なら400株売りたい」と、売りたい金額とその総株式数をリスト化したものを「売り板」と呼びます。
「900円なら500株買いたい」「800円なら300株買いたい」「700円なら400株買いたい」と、買いたい金額とその総株式数をリスト化したものを「買い板」と呼ぶのです。
そして「売り板」と「買い板」をくっつけたものが「板情報」です。
今言ったものを「板情報」にしてみます。
400 1200
200 1100
300 1000
900 500
800 300
700 400
簡単に表現すると以上のようなものです。
「売り板」は株価の左に、「買い板」は株価の右にリスト化されています。
現在の株価が1,000円だった場合、「株式」を手に入れたければ1,000円を100株買えば済みます。
「株式」を売って手放したければ、500株までなら900円で売れます。
「板情報」を見ていると、今いくらなら売買できるのか一目瞭然です。
そしてどれだけ人の欲が深いのかもわかります。
上の「板情報」なら、現在の株価が1,000円であっても、1,200円で売りたい人が400株ぶんいますよね。700円で買いたい人も400株ぶんいます。
つまり相場なんてどうでもよくて、自分にとって利益が出る株価、自分が出したい利益を満たす株価を表示しているのが「板情報」なのです。
「株式取引」において、現在の売り買いの思惑を反映しているのが「板情報」である。
しかし、たとえば1,000円で買ったものが10,000円で売れるのか。
上記の「板情報」からはわかりません。
10,000円でも買ってくれる人がいるのかどうかが表示されていないからです。
では1,000円で買ったものを1,100円で売れるのか。
これもわかりません。
「買い板」の上限が900円だからです。
たとえ1,100円でも買いたい方が現れるのかどうかまでは判別できないのです。
だから「板情報」は、現時点の人の欲望が表れるものなのです。
見られるのはあくまでも「現時点」であり、過去でも未来でもありません。
しかし「株式取引」をするなら「板情報」が読めなければならないのです。
もちろん「板情報」を見ないでも「株式取引」自体はできますが、安定した成績はまずあげられません。
今、株価に近いところまで買いたい意欲のある投資家がどれだけ何株ぶんいるのか。
それを知っていれば、たとえ買った途端株価が下落しても、すぐに売り逃げられます。
たとえ1,000円で200株買ったのに株価が下落したら、200株は900円で売れる。
このセーフティー・ゾーンを表しているのが、まさに「板情報」なのです。
もちろん「板情報」は刻々と変わります。
今のセーフティー・ゾーンが数刻後も機能するとはかぎりません。
そこばかりは勇気を持って判断しなければならないのです。
セーフティー・ゾーンの厚みがあって、仮にマイナスへ振れても売り逃げられる。
そう思っていても、実際にそのセーフティー・ゾーン近くまで株価が下がると、蜘蛛の子を散らすように薄くなってしまうときもあります。
「セーフティー・ゾーン」に見せかけた「見せ板」だったのです。
この株価にこれだけの厚みがある(ように見える)から、これ以上株価を下げようとするな、と牽制しているのが「見せ板」の役割です。
そして「セーフティー・ゾーン」があるから、投資家は強気に買い向かえます。
「見せ板」は本来禁止されている「株価操作」にあたるのです。
しかし「実際に買おうと思っていたが、もう少し安く買えそうなので指値を下げた」と言い逃れできるため、「見せ板」をして懲罰を受けた例は見ません。
ですが本来禁止されているので、皆様は「見せ板」など使わないでくださいね。
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「板情報」は今の需給バランスを見るのにうってつけです。
いくらなら売ってもよいのか。買ってもよいのか。
それがわかるだけでも、相場の先行きを見切りやすくなります。
しかし「板情報」の影響はせいぜいその日だけです。
翌営業日になれば、多くの投資家がもう一度「指値」を置きます。
そうして形作られた次の日の「板情報」は、前日とは違うものです。
スイングトレードや株式投資など、日計りでない取引の場合は、「板情報」の重要性は落ちます。
これらはたいてい大引け直前に仕込んだり、寄付きで買ったりするからです。
そして売るときも大引け直前か寄付きに行ないます。
このように数日にわたる取引の場合、「板情報」はあまり気にしなくてもよいでしょう。
ただし、「板情報」を見ていれば、今日はいくらまで下落しそうか、いくらが天井になりそうかもつかめます。
スイングトレードや中長期の株式投資であっても、より有利な価格で取引できるので、「板情報」を見てタイミングを測れるようになりましょう。
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