5

風呂から出た私は、タオルを頭に食卓へと向かった


「レイン?かっこよくなったね」


食卓に座っていたのはお風呂に入って綺麗になったレインだった

土や泥で汚れてグズグズになっていた髪の毛は綺麗な黒色でツンツンになっていた


「ありがとう」


頬は風呂を出たからか、照れたからか、ほんのりと赤かった


「お昼ですよ」


シスターは机にトマトソースパスタを並べて席に着く


そして指を組む

が、レインは何が何だか迷っていた


「レインこうやって指を組むんだよ」


レインが見様見真似で指を組むとシスターは口を開いた


「我らの命の巡り合わせに感謝を」

『全てに感謝を』

「……かんしゃを」


レインの頬はさっきよりも赤くなっていた

それを見たシスターは少し微笑んでいた


「あのねシスター、今日ね……」


私はシスターに羊の話やりんごの話をした

が、その間にレインは一切パスタに手をつけなかった


「どうしたんですか?伸びますよ」

「赤……」


レインはトマトソースを指して呟いた


「美味しいよ!」


そう言って食べる所を見せると、レインは不器用ながらにフォークを使って食べたが、


「うっ」


ベチャッ、ボタッ、ボタッ


「うぁ……ご、ごめんなさい、ごめんなさい……」


レインは吐いてしまった


シスターは慌てて立ち上がって、レインの背中をさすりながら医務室へと向かっていく


レインはただ、ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返しているだけだった


私はパスタを残して自室へと向った


それから数十分、下から洗い物の音が聞こえなくなった


私はボードゲームを片手に医務室へと向った


「ばぁ!」

「あわっ」


横になっていたレインはビクリと体をゆらしてこちらを向く


「どう、驚いた?」

「うん」

「レインが暇だろうと思って、ゲームを持ってきたの」


そう言って私はボードゲームを彼に見せた


「羊さんゲームって知ってる?」


レインは知らないと首を横に振った


「じゃぁ、教えてあげるわ」


私は、自慢気に胸を張りながら答えた


それから私達は時間を忘れてゲームをしていた


「ロザリーは強いね」

「でしょ」


Prologue1 end

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