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私はしゃがんで、少年が起きるのを待っていた
「どうしてここで寝てるのかな?」
すると少年は薄ら目を開けた
「大丈夫?」
グー
返事とばかりに少年のお腹から大きな音がなった
「っ……」
そしてカスカスの声で何かを言っていた
私は手に持っていた赤いリンゴを差し出した
だが彼は口を抑えて酷く怖がった顔を見せた
「そうだった、りんごの皮はバイ菌がいっぱい付いてるんだったね」
私はシスターの話を思い出して
近くに落ちていた大きめの石でりんごを叩き割った
「はい!」
少年は今度は受け取って食べた
「どう?」
「……ありがとう」
少年は少し顔をそらして返事をした
「ねぇ、家で遊ぼうよ」
私は初めての同じ年の子を、興奮を隠しきれずに彼が返事をする前に、手を引っ張っていた
「私ロザリーって言うの、貴方は?」
「僕は……」
少年は喋らなかった
「わかんないの?じゃぁ、雨の日に合ったからレイン、いいでしょ」
「レイン……うん」
気に入ったのか少年は嬉しそうに頷いた
私はメイちゃんの手綱を引っ張って、レインと家へと向かった
「ただいま、シスター」
玄関を開けると、シスターは直ぐに来てくれた
「おかえりなさい、お風呂が出来てますので入っていきなさい……そこの男の子は誰ですか」
「レインって言うんだよ、林の中で倒れてたの、お腹空いてるんだって」
そう言うとシスターは頷いて口を開いた
「そう、それよりも羊さんをお家に帰してきなさいね」
「そうだった、返してくるね」
レインとの会話に夢中になり過ぎてメイちゃんの事を忘れていた
「レイン君いらっしゃい、取り敢えず綺麗になりましょうね」
そう言うと、シスターはレインの手を引いて家に招き入れた
私はメイちゃんと一緒に羊小屋へと向かった
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