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「そうそう、明日は町に行くから」
それを聞いて私はシチューを食べる手は止まった
「そういう事は明日は雨なの?」
それを聞いて神父様は頷き口を開く
「そうだとも、何かお土産を……」
「やったー、何しようかな楽しみだな」
私は残りのシチューをかきこみ、部屋を出ていった
「ふふっ、久しぶりの雨です、よほど楽しみにしてたのでしょうね」
「そうだな、絵本でも買って来てやるか」
私はハシゴを登って屋根裏の自室に入って本を取る
「明日は何を見に行こうかな、木に実ったりんごを見てみたいな」
私にとって雨はとても特別な日だった
神父様からもシスターからも外には灰の化け物が居て、子供を襲ってくるからと、外に出ては行けないと言われていた
けど、その化け物は雨の日になると雨に流されて居なくなるから、私が外に出られるようになる唯一無二の日だから
「楽しみだな」
私は本を閉じて明かりを消した
外はもうすでに暗くなっていた
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ポツリ、ポツリ
聞き慣れない音に目を覚ます
窓から入る色付きの光はいつもより薄暗かった
「雨だ」
私は勢い良く起き上がってハシゴを降りる
「おはよう、シスター、神父様」
「おはようロザリー、ご飯はもうすぐ出来ますので席に着いてくださいね」
私は席に着いて神父様の方を向く
「神父様、今日は町に何しに行くの?」
神父様はその質問ににこやかに答えた
「布を売りに行くんだよ」
「なんの?」
「うちの白い羊のさ」
パンとスープが机に並びシスターが席に着く
「それじゃあご飯にしようか」
皆は指を組む
「我らの命の巡り合わせに感謝を」
『全てに感謝を』
「私知ってるよ、普通の羊さんは黒くなっちゃうんでしょ」
食事は美味しかったが私の興味は羊の話に向いていた
「よく知ってるなロザリー、だから白い布は高く売れるんだよ」
神父様はその大きな手で頭を撫でてくれた
私はただただ、嬉しくて自慢気に胸を張っていた
「それじゃぁ行ってくるよ、あまり林の深くまでは行かないようにねロザリー」
「大丈夫だよ神父様、行ってらっしゃい」
「お送りします」
シスターはそう言って立ち上がると、神父様と部屋を出ていった
私は残ったご飯を急いで頬張った
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