~第一章・幕開け 外伝 トラウマを刻み続ける父親~~第一章・幕開け 外伝 トラウマを刻み続ける父親~

ある日、父親が飯の話と共にタマネギの話を始めた。当時科学テレビ番組か巻物で「あめ色に炒めると良い」と記されており、いきなり決意した父親がタマネギだけを炒めてニヨミに食べさせた。しかもストレスを与え続けるようにタマネギだけを、だ。

だがタマネギの基本は皮を剥いてから水に浸して辛みを抜いてから炒めたりサラダにするのが当時から主流だった。

だが父親は栄養学の博士課程を取得していたためか固定概念で何も工程を入れず、栄養満点でニヨミに食べさせようとしたのか、はたまたストレスを与えようとしていたのかは謎である。おそらく後者が正解と言えるだろう。

お陰でニヨミの中でタマネギに対する大きなトラウマが発生し、タマネギを見ると畏怖し、トマトソースのパスタで出されたタマネギを見て恐怖のあまり残した。

だがそのおかげで父親の怒りを買い、下着一丁でパスタの皿を持ったまま「食べ終わるまで帰るな」と幼いニヨミを脅し、恐怖と悲しみでどうしようもなくなったニヨミは家屋の側の排水溝の位置で泣きじゃくりながら誰かの助けを待っていた。当時隣にあったクリーニング屋の男性スタッフたちがあまりにもの惨状ではあったが、殺す為に動いている以上手を出せないことと、他の家庭の事情に首を突っ込めず、ただひそひそと笑い話にして終わらせた、という。

この時ニヨミは家庭のずさんさと世間の冷たさに絶望し、「このまま生きていても意味はない」「助かる方法は外面だけでも利口にするしかない」と諦めるしかなかったという。

そして敏感な舌で受け入れられなかったタマネギは父親と共にただの恐怖としての存在になったという。

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