~第一章・幕開け 外伝 ゲームとの出会い~

実はニヨミの母型の実家は魚屋を経営する一族だった。祖母が隣国と自国との戦争の後、荒れ果てた世界を見て、「魚屋をすれば儲かる!」と判断し魚の骨を釣り針にしたり、漁師から仕入れた魚を捌いて活け造りなどを旅館に卸したりすることでたった一代で従業員8名以上、軍人の母親を亡くした旦那を婿入りさせるなどかなりの手腕の持ち主であった。

そんな祖母がニヨミの赤ん坊の姿を見て「若いって、羨ましい」と声を漏らしたのは有名な話である。

祖母亡き後、祖父宅に通っていた母親と父親、ニヨミと弟だったが、いきなり叔父と祖父に「ゲーム機に興味があるか」と話を持ち出され、当時の科学機種では有名な「脳科学ゲーム」と「ゲームガール」を渡される。祖父と叔父はストレス発散のつもりで渡したのはわからないが、ニヨミは喜んで持ち帰り、脳科学ゲームには思考が追い付かず諦め、ゲームガールで「デッドリッス」や「ワルオシスターズ」をプレイしていたという。

そしてある日前の話の手術の前に誕生日として「ワイルドモンスター」を買ってもらい、楽しくプレイしていたそうだ。


そして手術後、楽しく父親と弟と馬車駅前の「オッスサンド」に行きながら「ワイルドモンスター」をプレイしていた時のことである。

ケガさせた男の子「ヤヨイ君」に謝るべきか怒るべきか確認する為に父親にヤヨイ君の様子を聞くと、何とヤヨイ君は転園していたらしい。ニヨミはすごく悲しんだという。

「また一緒に遊びたかった。今度こそは仲良くしたかった」

ニヨミの中で、この時の悲しみは強く刻まれたという。

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