~第一章・幕開け 続 続~

彼女はベッドで目を覚ました。

彼女は一瞬夢を見ていた。彼女のそばで父親が一晩苦しんでいるニヨミの手を握っていた夢だった。

彼女はゆっくりと起き上がり、トイレで用を足そうとした。

その時、彼女の股間に激痛が走った。

彼女はその時小児用ナプキンを付けられていた為、痛みの理由が理解できずに激痛

のあまり泣き出した。

後程彼女の看護師が来て理由を知った。

どうやら看護師の説明によると、縫合跡が用を足そうとして力んだ圧力で破けて出

血したらしい。その時の痛みによるものだという。

彼女は再び生理用ナプキンを装着してもらい、縫合跡が無理に破けないように用を

足すのを看護師に聞きながら覚えていった。


そして何とか縫合跡が結合したのち、彼女は退院することになった。

復園したのち彼女は幼稚園の女子サッカー仲間と着替える時、彼女の縫合跡に見られた身体に溶け込んでなくなる化学繊維糸を観られ、当時の夜番組より「ワカメちゃん」と皮肉のような下ネタが混じったあだ名を付けられた。

だがニヨミは自身の悲しさをよく知っていたからこそ打ち消すべく、許せる優しい

人になろうと「ワカメちゃん」のあだ名を気に入ったふりをして楽しい幼稚園時代

を過ごしていた。


ちなみに、彼女は自身の悲しい宿命に気付き始めていたのか、そして早めにこの苦

しみから解放されたかったのかジャングルジムから突然パンツを脱ぎだし放尿する

というなんとも豪快なストレス発散、兼この苦しい人間社会から抜けだす方法を編み出していた。

先輩男子からは結構ドン引きされていたらしい。


それ以外は幼稚園時代はお茶の作法を身に着けたり、自身でツバメを模した紙飛行機を見てからいかに紙飛行機を遠くまで飛ばすかを考えていた。

途中で木の枝に樹液輪をひっかけて飛ばすことを思いついてからは周りの女子から嫌がられていたらしい。そりゃどう見ても人様目掛けて飛ばすことは失明にもつながりかねないからだ。

彼女は彼女なりに自身の発見に対する周りの否定にもこの時すでに気付いていたのであった。そして幼いながらに悟っていたのであった。


「この世界で何を頑張っても意味がない」と。


そんな悟った彼女が早朝父親に虐待された後、他の保護者達が同伴して出園する中

一人で出園した。

父親から「最高の父親だと周りに言え」と言われたことを、心の中では「素直に私のお父さんは認められないんだ、だから他の保護者の前でも顔を出せないんだよね」

と心の中で悟りながら周りの保護者達には「私のお父さんは最高のお父さんです」

と嘘をついていた。

少なくとも、父親に傷ついてほしくなかったことと、父親の耳掃除で鼓膜を破られかけて、母親が激昂して父親をはたいたことがあったため、このまま離婚しても誰も幸せになれないことを悟っていた為である。

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