『さぁ、バッテリーとバッターの読み合い探り合い、面白い場面です。第３球目を、投げた、打ったぁ！流した、１２塁間、セカンド追った、飛んだ、届かなあぁい、外野へ抜ける、ランナーはホームへ、強肩ライト、ボールを返す、間に合わなぁい、ホームイン！１点追加でぇす！』

『届きませんでしたね』

『当たりはそれほど良くはありませんでしたね』

『ええ、インコースのボールを腕を畳んでうまく叩いたんですが、少し根っこで詰まりました。ただ、大木君の』

『身長が足りなかった』

『ダッシュはそれほど悪くなかったですけど…』

『残念です。愛球会、痛い失点をしてしまいました。まだ、ピンチが続きます。ランナー１２塁、まだワンアウト。バッターは、東キャプテン！小林君、慎重にランナーに気を配って、投げたっ、初球打ち！打ち上げたぁ！インコースのボールに詰まってサードフライ。捕った、アウト！これで、ひと安心ですね』

『次の崎森君は左ですから、ちょっと不安でしょう』

『やっぱり、大木君ですか？』

『いえ、小林君自身、あまり左打者に投げるのを得手としていないように見えるんです』

『そうですか。ランナー１２塁で左バッター、ツーアウトですが、ここの攻めはどうなりますか？』

『基本的には低めを突いて内野で処理したいですね』

『なるほど。さぁ構えて、第１球を投げた、ボール。高めに浮きました。左バッターだと投げにくいものなんですか？』

『小林君はリトルリーグ出身ですから経験豊富でしょうけど、やっぱり投げ込む相手が真っ正面に開いて待っているというのは、心持ち投げにくいものですよ』

『好打者、崎森君相手に、どう攻めるか。ボール、２球目もボールです。ボールが高めに浮きますね』

『少し力んでますね。ツーアウトを取ったことが、かえって小林君にプレッシャーとなっていますね』

『第３球を投げた、打ったぁ！センター返し、抜けるか、追いついた！ショート追いついて、１塁へ投げた、アウト！アウト、チェンジです！ピッチャーの左、センターへ抜けるかという打球でしたが、ショート林君追いついて、華麗に１塁送球、アウト！』

『上手ですね、彼。さっきから時々いいプレイを見せてくれています。いい選手になれる素質がありますね』

『普段はほとんどしゃべらないんですけど』

『無口なのと、野球とは関係ないでしょ』

『でも、ホントに、無口ですよ』

『そんなことはどうでもいいの』

『ハイ。６回の表が終わって、ついに野球部１点追加。３対２で、野球部のリードとなりました』

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