ペアのネックレス
翌日、学校が終わると、由紀が声をかけてきた。
「悠斗くん、じゃあ行こうか」
「え?あっ、うん」
返事して、由紀の横に並んで、教室を出た。
下駄箱のところで、
「どこ行くの?」
聞いてみた。
「あっ、隣町のショッピングモールだよ。そこにね、あるんだ、欲しいもの」
駅に着いて、俺が切符を買おうとしたら、
「私が誘ったんだから、私に出させて」
と言って、切符を2枚買っていた。
この時間はまだ電車はすいている。
シートに座って、
「何買うの?」
聴くと、
「ネックレスだよ。ペアのやつ、欲しいの」
ネックレス……装飾品って柄じゃないんだけどな……って、ちょっと気恥ずかしかった。
モールに入ると由紀は迷うこともなく宝石店に向かう。
「お母さんがネックレスとかピアス買う時に時々ついて来るんだ」
宝石店に着いた。
これがまた、モールの中にあるとはいえ、結構ちゃんとした宝石店だった。
「高そうだけど、大丈夫なの?」
俺が聞くと、
「安いのもあるんだよ」
と言いながら、ネックレスのコーナーへ向かう。
店員さんがやってきて、
「いらっしゃいませ。今日はお母さんじゃなくて、彼氏さんとご一緒なんですね。ネックレスをお探しですか?」
と聞いてくる。
顔を覚えられるくらい来てるんだ〜って感心してしまった。
「はい、お揃いの……ペアのネックレス探してるんですけど、お勧めありますか?」
由紀が聞くと、
「ご予算はおいくらですか?」
って、聞かれて、
「三万円くらいです」
三万円は高い。
「由紀、そんな高くなくていいよ〜」
って言ったんだけど、
「悠斗くんとペアのネックレスなんだから、これくらいは出さないとね。お年玉とか貯めてるから、全然大丈夫だよ」
そう言って、店員さんと色々みてる。
俺は装飾品のことなんて全然分からない。
「これ、どうかな〜」って聞かれたら、全部いいって言っちゃいそうだ。
最終的に、2つに絞ったようで、1つはイルカのネックレス。片方が18金、もう片方がプラチナらしい。
もう1つは、片方が月で片方が星になってて、どちらも18金。
「悠斗くんが決めて」
と由紀が言った。
俺はしばらく考えてから、
「イルカのやつかな」
って言うと、
「イルカね。じゃあこれお願いします」
って店員さんに伝える。
「じゃあ、裏にお二人のネームをお入れしますから、30分程、お待ちいただけますか」
と言ってきた。
「分かりました」
と言って、一旦店を後にした。
2階にあるマクドナルドでバーガーセットを注文して、時間を潰す。
「誕生日でもないのにあんな高いもの買わせちゃって、ごめんね」
俺が言うと、
「値段のことはほんと気にしなくていいよ。急に思いついたわけじゃなくて、ずっと前から、悠斗くんと付き合えたらペアのネックレス付けたいなって思ってたの。夢の一つを叶えただけだよ」
いろんなこと考えてるんだな〜と感心した。
30分ほどして、店に向かう。
2つの上品な紙の袋に入れてくれたネックレスを手にして、店を後にした。
駅に着いたら、辺りは暗くなり始めていた。由紀を一人で帰すのが心配だったから、
「家まで送るよ」
と言った。
由紀は、
「大丈夫だよ」
と言ったけど、
「ダメだよ、何かあってからじゃ遅いんだから」
言うと、
「分かった、じゃあ送ってもらおうかな」
言って、歩き出した。
途中、どちらからともなく手を繋いだ。
由紀は少し赤くなりながら、俯いた。
その仕草が、たまらなく可愛かった。
家に着くと、由紀が
「ちょっと待っててね」
と言う。
しばらく待つと、お母さんを連れてきた。
小学生の時に一度会ってるけど、顔は覚えてなかった。
「初めまして……じゃないけど、中川悠斗です。よ、よろしくお願いします」
って頭を下げた。
「由紀の胸、小学校の時より、大分大きくなったでしょ?でも、まだ触っちゃダメだよ」
って悪戯っぽく言う。
由紀が慌てて、
「お母さん、変なこと言わないでよ〜、まだ中学生なんだから〜」
って言った。
「俺、由紀のこと、大丈夫にするし、絶対守ります」
って言ったら、
「親の私が言うのもあれだけど、由紀はほんとに可愛いから心配なの。お願いするわね」
と言った。
「はい」
って言って、
「じゃあ、今日はこれで失礼します」
とあいさつした。
由紀が、
「悠斗くんまた明日ね」
言ったので、
「うん、また明日」
と言って、少しにたにたしながら、家に帰った。
続く
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