川北ルナと由紀の電話

 その日、帰って、30分程してから、由紀に電話をかけた。

 そして、朝の川北さんとのやりとりを説明したのだ。

「尚哉くんは、逆の立場ならどうする?」

 少し考えてから、

「小学校の2年生からずっと好きだったって言われたら、俺なら、オッケーしちゃうかな、勿論、それで諦めてくれるのが前提だし、キスは当たり前だけど手を繋ぐのも禁止でね」

 由紀は頷いて、

「私もね、同じだよ。だから行ってきていいよ。悠斗くん信じてるから」

 とは言われたが、

「俺は複雑だけどね。由紀のことだけ好きだから」

「ありがとう、そう言ってくれると凄くうれしい」

「行くなら、思いっきり楽しんで、いい思い出作らせてあげたいって思う」

 由紀は微笑んで、

「うん、それがいいよ」

 俺が、思い出したように、

「LINE交換してただろ?多分電話があると思うよ。そんなこと言ってたから」

 でも、なんか複雑だよな~

 俺との電話のあと、川北からLINEと電話があったらしい。


電話で話したいんだけど

いいかな?


うん、いいよ


 由紀が答える。

 すぐに電話がかかってきた。


川北

ごめんね。いきなりLINE交換なんてさせちゃって。

由紀

ううん、別に嫌じゃなかったから

川北

中川くんから聞いたかも知れないけど、私も中川くんのこと好きなの。

由紀

川北さんは……その……いつから好きだったの?

川北

私は小学2年生から。もちろんちっさかったし、それが好きって感情なのかは分からなかったけど、その頃から中川くんを目で追ってた。他の男子なんか全然興味なかったわ。

由紀

なんか、一瞬で女の子を虜にする魅力っていうのかな~、惹きつける力みたいなものがあるよね。

川北

西山さんもそう思う?

由紀

思う思う。

川北

でも私、素直じゃないんだよね~、中川くん見つけても、嫌味ばっかり言ってさ。

ツンデレじゃなくて、ツンツンだよ。

そりゃ、振り向いてもらえる筈ないし。

由紀

デートしたがってるって聞いたんだけど、やっぱりしたい?

川北

一度だけでいいの。彼氏彼女みたいにさ、デートしたい。

そしたら、キッパリ忘れて……まぁすぐには無理だけど、絶対、邪魔はしない。誓うわ。

由紀

長い間、好きだった人とデートしたいって気持ちすごくわかるの。だから、いいよ。

未来のことはどうなるか分からないけど、

今は私の彼氏だから、横から奪うようなことをしたら私はその人を絶対許さない。

それだけは分かってね。

川北

西山さん、こわい。

大丈夫、私は嘘はつかないわ。奪おうなんて思わないし、二人が上手くいくように全面協力を約束しま~~す。

あとさ、これからもLINEとかで交流持ちたいんだけどいい?

由紀

あっ、喜んで。

川北

じゃあ、一つ情報提供してあげるね。デート許可してくれたお礼だよ。

由紀

何かあるの?

川北

田中明美、私よりあの子の方が、あなたにとっては厄介な存在よ。

何故かっていうと、小学生の時から、あの子は男子と話さないし、一緒に行動することもしない子だったの。それがああいう行動に出たってことは、それなにアタック仕掛ける可能性が大きいって事なのよ。

由紀

なるほど、そうなんだ~

川北

そうなの。それにもう一つ、中川くんは明美ちゃんに対して好きに近い感情を持ってた時期があったってことなの。 

次は何をしてくるやら……よ。

由紀

ありがとう。

でも、田中さん人間的に悪い子なわけじゃないよね。

川北

めちゃくちゃいい子よ。

そこが危ないのよ。

あっ、ごめんね、中川くんとメールする時間とっちゃって。

じゃあ、今週の日曜日でいい?デートするの。

由紀

あっ、いいよ。

川北

じゃあ日曜日、中川くんおかりするね。

あっ、私も由紀ちゃんって呼んでいい?

由紀

うん、いいよ

わたしもルナって呼ぶね。 

川北

うん。

じゃあまた明日学校で

由紀

じゃあ学校で


 そう言って二人は電話を切った。


 続く




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