目の前で食べるのは恥ずかしい
次の日、登校前に、2年生の時のように公園に行って、加藤からお弁当をうけとった。
その時、
由紀ちゃん、隣の席なんでしょ?わざと教科書忘れようかな~とか言ってたよ」って肘で突っついてきた。
「俺、一週間持たないと思う」
「え?なにそれ」
「そのうちわかるよ」
って言って公園を後にした。
まさか一限目に実行するとは思わなかった。
西山さんが、
「教科書を忘れたから見せて」
って言ってきたのだ。
いやいや、結構積極的なんだと感心してしまった。
まぁ、昨日ガラガラの教室で堂々と俺の横に座ったんだからその時点で分かることだよな。
でも、その割には告白は加藤さんに頼んでたよな~、女子はよく分からん。
机と机の間に本を置いて……時々感じる西山さんの視線。
こんなんじゃ授業に集中出来ないよ~めっちゃ身体にわるい。
全教科の教科書忘れたとか言わないだろうな~って思ってたけど、流石にそれはなくて、午前中の授業は終わった。
そして昼休み、お弁当の時間だ。
目が合うと恥ずかしいから、俺は出来るだけ、西山さんと目が合わないように、カバンからお弁当を出して、机に置いた。
西山さんもお弁当を出して、広げてるのがわかる。
恥ずかしがってても仕方ない。早く食べてしまおう。
そう思って、蓋を開けると、ハート形の何かでご飯を押さえたのだろう。そして、窪んだところには鮭がほぐして乗せてあった。
まさか、同じクラスになるとか思わなかったんだろうな。
なんて、考えながら西山さんの顔に目が行ってしまった。
そこには、昨日の俺と同じように、真っ赤になって、恥ずかしそうに俺をみている西山さんの姿があった。
その顔、マジ反則だから……
また、顔が真っ赤になるのが、自分でも分かった。
あの笑顔を俺だけのものにしたい。
西山さんを誰にも取られたくない。
短時間でそう思わせる凄さが彼女にはあったのだ。
今日は丁度金曜日。明日、好きだって伝えよう。
お弁当を食べながら、そう決めた。
五限目は国語だった。
今度は、俺が教科書を忘れたと言って、西山さんに教科書を見せてもらっていた。
途中で、メモ帳に、明日、話があるから、富盛神社に来て欲しい。時間は合わせるから。
と書いて、そっと渡した。
受け取った西山さんは、先生にバレないようにメモ書きを確認して、裏に12時でいい?と書いて俺に渡した。
俺はまた、そのメモ書きに、じゃあ12時で。
と書いて渡した。
確認した西山さんはそのメモ書きを筆箱にしまった。
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