同じ小学校の女子

 2年生の時に、もう一つ別の話があるん

 川北ルナっていう、同じ小学校出身の女子がいるんだけど、この子は1年生の時もも2年生の時も同じクラスじゃなかったし、俺の記憶が正しければ、小学生だった6年間も同じクラスにはなっていない。

 家の方向が同じだったので、登下校中に会うことはあっただろうし、ひょっとしたら同じ委員をしていて、接点があったかも知れない。

 でも、直接話したことは一度もない。

 早い話、同じ小学校出身だったけど、その6年間、ただの1度も同じクラスになっていない女子なわけだ。

 川北ルナは頭が良くて、6年生の時には生徒会長をしてたから、まぁ向こうが俺を知らなくても、俺は向こうを知っている感じのはずだった。

 そんな関係だから、学校や街で会っても挨拶したりするわけでもなく、あっ川北だって思うくらいの存在だった。

 実際、中学生になっても、話をしたりする関係ではなかったし、1年生の時は、すれ違っても何もなかった。

 ところが、2年生になってから状況が変わった。

 と言っても大きな出来事があったわけじゃないんだけど、廊下ですれ違う時に、

「明美ちゃん可愛いからいいな~」

 とか

「明美ちゃんみたいに可愛くなりたかったな~」

 とか、何かにつけて『明美ちゃん』を引き合いに出して自分を卑下する言葉を連発するのである。

 最初は独り言でも言ってんのかな~って思ってだけど、毎回それやられたら、さすがに、俺に対して言ってるんだと気づいて、そしたら、何でお前に言われなくちゃならないんだ~って、腹が立ってきた。

 で、たまに、

「うるさいわ」「何で川北に言われるか分からん」とか言い返してた。

 川北は結構、負けん気が強いみたいで、

「独り言だからほっといてよ」とか、

「べ~~だ」みたいに下を出してきたりしたもんだ。

 何なんだあいつは、多分僕のことが好きなんだろうけど、そんなアプローチされても、逆効果だっての。


 あっ、この明美ちゃんって子は小学校5、6年生で同じクラスだった女子で、可愛くて、気が利く子だったけど、好きって感情はなかった。

 6年生になって直ぐに、男子のクラスメイトから、

「誰か好きな女子いる?」

 って聞かれたから、

「別にいないよ、まだ小学生だし」

 って答えたんだけど、しつこく聞いてくるから面倒になって、

「田中明美は可愛いとは思うけど」

 って答えたんだ。

 多分それを、このクラスメイトが喋って川北に情報が流れたんだろう。

 情報が流れたのは田中明美本人にもで、もともと男子とはあまり話さないタイプだったのもあって、それ以降ほとんど、必要以外の話をした記憶がない。

 多分、嫌われてるんだろうって思ってる。

 まぁ、そんな感じで、川北は、その行動からして、間違いなく僕のことを好きなんだろうけど、まぁ今のところ好きになる気はしてない。


続く

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