第124話 王城に行く
「それから、予定通り王国の領土を使って建国して、王様になったからね。皇帝以外には賛同されたから、もう王を名乗っても問題ないはずだよ」
僕は一応ミアに伝えておく。元々王様になることは話していたので、一応だ。
「え?影宮君、王様になったってどういうこと?」
委員長に聞かれる
「そんなことより、帝国と戦争って何?聞いてないんだけど……」
委員長に答えようとしたけど、ミアに聞かれるので先に答える事にする
「それは長くなるから、行きながら説明するよ。ミアには予定通り僕と一緒に村を周りながら王城に向かって欲しいんだけどお願いしていいかな?」
「それは構わないよ。復興するんでしょ?」
「うん。ただ、ちょっとやる事が増えたよ」
「いつ出るの?」
「夜のうちに移動して、明るくなってから村を周りたいからこれからだよ。やる事が増えただけで予定はほとんど変わってないよ」
「わかった」
「それじゃあそういうことだから僕は行くね。委員長達は先生と合流してフィル達と一緒に帰ってて」
「待って、そういうことってどういうことよ。色々と聞きたいことがありすぎるんだけど……」
行こうとしたら委員長に止められた。
「先生かフィルに聞いてくれれば、会議中に何があったかは大体わかるから」
「……影宮君は王城に行くのよね?」
「そうだよ。本当は馬車で行く必要はなくなったんだけど、途中の村に援助したりしながら進むつもりだから」
「私も一緒に行くわ」
委員長は付いてくると言う
「え!?なんで?別にいいけど……」
「影宮君、なんだか無理してるみたいだから。手伝うわよ。それに村に援助しながら進むんでしょ?これでも聖女なんだから、重傷者も治せるわよ。必要でしょ?」
「無理はしてないよ。やることが多くて疲れただけ。それと、多分委員長に出来ることはミアに出来るから回復要員は足りてるよ」
ステータスと杖の性能のおかげで、ミアの治癒力は聖女である委員長を超えていると思われる。
委員長に何が出来るのかは詳しくは知らないけど、死者を蘇らせる以外でミアに出来ないことを僕は知らない。
仮に難しかったとしても、共有のスキルを使えばステータスを割増することもできる。
あ、状態異常は治せないや。
でも毒は今回の為に錬金術師さんに解毒ポーションを大量生産してもらってあるし、呪いはミアが解くことが出来る。
麻痺とかは時間経過で解けるはずだから、対処出来ないのは洗脳とか特殊なやつだけだ。
「ほんとに……?」
これはどっちのことだろう?
僕が本当は無理していないか心配してくれている?
それともミアのこと?
「あ、うん。本当だよ」
考えてみたらどっちでも返事は変わらないや
「そう…。なら私が付いて行きたいから、付いて行く事にするわ」
委員長が不機嫌そうな顔で言った。
『お兄ちゃん、なんでそんなこと言うの?お兄ちゃんのことを心配して手伝ってくれるって言ってるんだから、私がどうとか言わずに、ただありがとうって言えばいいじゃん』
ミアに念話で叱られる。
「委員長、ごめん。やっぱり委員長に来てもらった方が助かるから僕の方からお願いしてもいいかな?」
「うん、もちろんよ」
「委員長はすぐに出れる?」
「少しだけ時間をちょうだい。先生に話だけしてくるわ」
「わかった。荷物とかは僕の収納に入れるか、馬車に乗せてくれればいいからね」
委員長が先生のところに行っている間に僕はフェンの所に転移して、先程までの出来事を説明する。
要所要所の説明になってしまったので、詳しくはフィルが戻ってきたら教えてもらうように言っておいた。
次は王城に転移する。
隠密を掛けてから王城の中に入ると、中は大混乱だった。
大体の理由はわかるけど、僕は無視して地下牢に行く。
『篠塚君、どこにいる?迎えにきたよ』
僕が篠塚君を念話で呼ぶと、石床の1つがゴトッと動いてさらに地下への道が出てきた。
「近くにいるのか?」
篠塚君に聞かれるので『隠密解くから中に入れてもらっていい?』と返す。
篠塚君も隠密を掛けているようで、地下牢に入っている人には見えていない。僕には丸見えだけど。
「わかった」
僕はさらに地下へと降りてから、隠密を解く。
そこは狭い部屋だった。
「お疲れ様。この部屋どうしたの?」
「ああ、土魔法で作ったんだよ。穴を空けてるだけだからそんなに大変じゃなかったな」
「そっか。これで全員?」
部屋には篠塚君以外にもクラスメイトがいる。ほとんど女子だ。
肩を寄せ合って僕達の方を見てるけど、何も言ってこない。
「ああ。何人かは無理やり連れてくることになったがな」
「だから怯えてるんだね」
「仕方なかったんだよ。元々は少しずつ話をしていく予定だっただろ?短時間で完了させるにはある程度荒くもなる」
「わかってるよ。それじゃあもう少しこのまま隠れててもらっていいかな。上を静かにしてくるから」
「ああ、頼む」
僕は隠密をまた掛けて、王座がある部屋まで行き王座に座る。
この部屋にも兵士達が何人かいて慌ただしくしている。
僕は隠密を解く。
「王の前で騒々しい!」
僕は兵士たちに言う。
「何者だ!」
兵士の1人が急に現れた僕に向かって槍を構える
「この国は僕がもらう事になった。これは決定事項だ。お前達も帝国との戦があったことは知っているだろう?王国は全敗した。その結果王国の領土は全て僕のものとなった。これからは僕がこの国の王だ。わかったらそれを下せ。それとも不敬罪で死にたいのか?」
「そ…そんな事が信じられるか!」
「数日もすればここにも知らせが届くだろう。君と話しても時間の無駄だな。今この城にいる者で立場が1番上のものをここに連れてこい」
「何故お前の命令を聞かないといけない」
兵士は言うことを聞いてくれない
「僕が王になったと言ったよね?君じゃなくてもいいや。そこの、うん、君。呼んできて」
僕は他の兵士に話をする
「え…あ、ああ」
兵士はあたふたしている
「聞き方を変えようか。呼びに行くか死ぬかどっちがいい?僕が姿を現すまで君達は気づかなかったよね?力量差、わかるよね?」
「あわわわ。呼んできます。呼んできますので命だけは……」
「うん、お願いね。早めにね。時間が掛かるようなら、この城は無くなるかもね。ほら、他の人達も行った方がいいんじゃない?お偉いさんがどこにいるのかわかるの?」
僕は兵士達を急かして行かせる。
少しして、貴族らしき男が3人王座の間にやってきた
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