第123話 責められる


――――――――――――――――――


時は1ヶ月前に戻る


皇帝と宰相が交流会の会場から出て行った。


「それじゃあ、交流会の続きをやりますか」

僕はみんなに告げる


「え?」

フィルがキョトンとしている


「せっかく皆んなに集まってもらったのに、挨拶だけして終わりっていうのはないよね?まだデザートだって出してないよ」


「あはは。ハイト君らしいね。ほら僕達は差別を無くすために動いているんでしょ?他の種族の事を知るチャンスだよ」

クルトがフィルに言う。


「あ、そうだ。フェンに教えないと……」

僕はフェンに念話を送る。ギルドマスターとミハイル様にもだ。

内容は帝国の相手が僕に変わった事と、ちゃんと戦の時間と場所も決まっているので、逃げる必要は無くなったとの内容だ。


うまく伝わらなかったので、後で説明しに行くと伝えた。


その後は当初の目的通り、皆で雑談をしつつお互いに聞きたい事を確認して、思想の違いによるイザコザが起きにくくした。


それから、エルフと魔族に用がある時の連絡方法も決める。

妖精と精霊に関してはこちらから見えないだけで、相手には聞こえているらしいので、特に決める必要はなかった。適当に呼んで用件を言えばいいそうだ。

それは普段から独り言を聞かれていたということになるけど、深く考えないようにした。


そして、内容の濃い時間が終わり、解散となる。


「今日は足を運んでもらってありがとうございました。トップが変わった時など、定期的にまた開ければと思ってます」


「それなら1ヶ月後になっちゃうね。やらせといてなんだけど大丈夫かな?負けるとは思ってないけど、普通にやったら君がやる意味がなくなるよね?」


「考えはありますので大丈夫です。悪いけど、フィルとクルト、それからミコト様にも手伝って欲しい事があるからよろしくね」


「任せてください」

フィルは内容も聞かずに了承する。信用してくれてるのは嬉しいけど、トップがそれではダメだよ……。


「妾も?」


「はい、ミコト様はエド村をお願いします」


僕は3人にやってもらいたい事を説明する。


「任せるのじゃ。それくらい妾が一言言えばみんな妾に従うのじゃ」


「魔王様は発端なんですから有無を言わさず動いてもらいますからね」

僕は魔王に言う


「わかってるよ。それで何をすればいいのかな?」


僕は魔王に説明する


「まあそうだよね。面倒だなぁ。……そんな顔で見なくてもやるから。怒んないでよ」


「怒ってませんよ」


これで準備は終わったも同然だ。


「それじゃあお願いします。僕は王国側の準備をします。魔王様、早速ですがお願いします」


「どこに飛ばせばいいのかな?言っておくけど何度も連続では使えないからね。1度使ったら数時間は空けないといけない」


「そうなんですか?そうなると少し時間が掛かりますね。とりあえず今は王城に飛ばしてください」


「だから無理は言わないでよね。はい、転送!」


僕は魔王のスキルで王城にやってくる。そしてすぐに転移で会場に戻ってくる。


「ありがとうございました。これでいつでも王城まで行けます。それじゃあ僕は行きますけど、皆さんはここを好きに使って休んで下さい」


僕はそう言い残して、会場を出てミアの所に行く。


「お疲れ様。無事に終わった?」

何も知らないミアに説明しようとしたけど、先に坂原さんに割り込まれた。


「影宮君、助けてくれたことにはお礼を言うわ。本当にありがとう。でももっとちゃんと説明することも出来たわよね?あの狭くて暗い道を何も知らずに通るのがどれだけ怖かったかわかる?それからよくわからないテントに入れって委員長がいるなら先に教えてよ」

坂原さんは結構怒っている。

あれから時間が経って落ち着いたことで怒りが沸々と湧いてきたのだろう。


「ご、ごめん」


「坂原はまだいいだろう。俺なんて燃やされた挙句、剣で刺されたぞ。やる必要があったのか?篠塚から情報を得ているって委員長から聞いたぞ」

長谷部君が言った。これは本当に悪いとは思っている。でもなかなか降伏しない長谷部君も悪いと思う。


「降伏しない長谷部君も悪いんだよ。最初は全然痛くなかったでしょ?」


「全然どころか全く痛くも痒くもないから、勝てるもんだと思って頑張ったんだよ。俺の時は坂原の次だったからまだ5戦目だぞ。簡単に降伏なんて出来るわけがないだろ。そう思ってたら、マジで燃やされて消そうと転がってるところを刺されたぞ。せめて燃やしたところで一度やめろよ」


「ご、ごめん」


「影宮君ありがとう。僕は君に文句なんてないよ。助かったよ」

中本君が言った。中本君は長谷部君にやったように弱めに水魔法を当てたらすぐに降伏した。

痛い思いはしていない。だから何も不満はないようだ。

坂原さんと違い、降伏後にこのテントには普通に歩いてきただけだし。


「あ、うん。元気そうで良かったよ」


3人は委員長から大体の事情は聞いているようだ。


3人の気持ちもわかるけど、僕はそれよりもミアにさっきの事を伝えたい。これから一緒に旧王国の方に行ってもらうつもりでいるのだから。


「ちょっと僕は忙しいから、また今度聞かせてもらうよ。ミア、待たせてごめんね」


「あ、うん。お兄ちゃんが楽しそうでよかったよ」

楽しそうだったのだろうか?


それよりもさっきの事を伝えないと

「ミア、1ヶ月後に帝国と戦争することになったからね」


「……え?」

ミアはポカンとした

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