第61話 閑話 side 委員長②
私達は今日も小山君の部屋に集まっている
「そろそろ逃げないとマズイよ」
小山君が言うが私もそんなことはわかっている
「わかってるけど、一緒に逃げるのを決めたのは何人かわかってるでしょ?」
「僕達を含めて8人だよね」
「そうだよ。ほとんどの男子は高村君についちゃったし、女子も危険を冒してまで逃げる覚悟は決まらないみたいだし。でも残して行きたくないよ」
「最初に3ヶ月って決めたよね。もう過ぎてるんだよ。高村達が何か画策してるみたいだし、タイミングを逃すと誰も逃げれなくなるよ」
「わかってるよ。桜先生、どうしたらいいのかな?」
「みんなは逃げて。私だけ残るわ」
桜先生は自分だけ犠牲になるつもりらしい
「そんな…それはダメだよ」
「でも、みんなを残してはいけないわ」
「2人とも落ち着いて」
小山君が落ち着くように言うけど、落ち着いてはいられない。一緒に説得して欲しい
「小山君も一緒に言ってよ。桜先生だけ残して行けないよね?」
「僕もそれは嫌だな。それに、先生が残って説得がうまく行ったとしてどうやって逃げるの?」
「それは……」
「だったらみんなで逃げるべきだよ。影宮君からあれをもらったけど、何度もあれで騙すことは出来ないと思うよ」
「そうかもしれないけど…なんとか方法はないのかな」
「一度逃げて、体勢を整えてから助けにきた方がまだ可能性があると思うよ」
「……わかったわ、一緒に逃げます。それなら早い方が良いと思うわ。今、国と高村くん達を出し抜く案は浮かばないもの」
「委員長もそれでいいよね?」
「……わかったわ。次のダンジョン訓練の時にやりましょう」
「準備は僕の方でやっとくから。予定だと2日後だね」
「お願い。3人には私から伝えとくわ」
2日後、予定通りダンジョンに潜ることになった。
私達は4人+国の騎士の5人パーティを2組で一緒に潜る。
この8人が逃げるメンバーだ。声を掛けた他のクラスメイトにはどうやって逃げるかは伝えてないからバレることはないだろう。
私達は転移陣でダンジョンの30階層まで行った後、35階層まで潜る
国の騎士はこんなに深くまで潜って大丈夫なのかと心配しているが全然問題ない。
何故なら力を隠しているだけで実際はこのくらいの魔物は余裕だからだ。
私達は予定通りの階層まで来たので作戦を実行することにする。
まずは小山君が魔物にやられそうになる振りをする
「うわ、やめて。助けて」
私は作戦を知ってるからかな。芝居が下手だ
騎士が2人がかりで助けに入る
その時に後ろから騎士を殴って気絶させる
本当は殺しちゃった方が良いんだけど、流石にそれは躊躇われた。
「よし、うまくいったね」
小山君が満足げに魔物を軽々と倒す
「小山君、芝居下手過ぎない?」
「しょうがないじゃん。そんな経験ないんだから」
「騙せてたみたいだからいいけど」
「だったら委員長がやればよかったじゃんか」
小山君は不満そうだ
「ゴメンゴメン。作戦を進めよ」
私達は影宮君から貰った人形を気絶した騎士を囲って並べる
私達そっくりの人形でクラスメイト全員分もらっていた
それを小山君の友達である児玉君のスキルで持ち運んでいた
スキルは収納で職業は商人だ
児玉君の収納はサイズがおかしい。影宮君の収納もおかしかったけど、最近までおかしい事に気づいてなかった。
だって使えるのが2人で、その2人ともがおかしいとは思わないから
自分の人形が魔物に喰われていくのを眺める
なんとも異様な光景である
全員分の人形が原型を残して食われるように見守り、終わったところで魔物を1体だけ残して倒す。魔物の死体は苦戦して倒したように見えるように細かい傷をたくさん付ける。
残りの1体も瀕死くらいまで攻撃してから、私達は物陰に隠れる
魔物が倒れている騎士に近づいてきた所で、私は治癒魔法で騎士の目を覚ます
目を覚ました騎士は魔物をなんとか倒す。
そして、私達の人形を見て頭を抱える
もう1人の騎士の肩を揺らして目を覚まさせるけど、もう1人の騎士も頭を抱えるだけだ
2人で8人の死体を持って戻ることは出来ないだろう。
それどころか2人で転移陣のある30階層まで戻るだけでも厳しいかも知れない。
魔物にやられてしまった場合はこんな国に仕えたことを後悔してもらうしかない
結局2人は私達の死体を諦めて隠れながら進み、30階層で転移していった
私達は転移陣は使わない。バレるといけないので訓練の時間が終わるまでは29階層で時間を潰した後、歩いて地上まで戻った。
そしてそのまま城の敷地から脱出した。
後は私達の死体が偽物だってバレない事を願うしかない。
私達はブルンド帝国を目指すことにする。
影宮君も帝国に向かったはずだし、まずは国から出た方がいい。
食べ物は児玉君の収納に入れてあるからいいけど、移動手段と寝る場所を確保したい
悩んだ結果、お店で城から持ち出したものの中から、足がつきにくいだろう物を買い取ってもらってお金にかえた。
宿に泊まって、翌日馬車で帝国に向かって出発した
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