第51話 逃亡者、スライムを助ける
翌日もダンジョンでレベル上げをする
フィルとフェンの動きはすでに僕以上なので出来るだけ高レベル帯で戦うことにする
……僕が力任せの戦いしか出来ないとも言える
「行ったことある階層には転移出来ればいいのになぁ」
僕は独り言を呟く
実際、レベル上げの為に半日くらいかけて30層くらいまで行くのだ。正直、めんどくさい
「転移出来るダンジョンもあるよ、ここじゃないけど」
ミアがそんなことを言った
「え、どこ?」
それはズルい。
「王都にあるダンジョンは入り口に転移陣があって、行きたい階層まで一瞬で行けるんだよ」
王都かよ!せっかく逃げてきたのに
「王都のダンジョンとここのダンジョンって何が違うかわかる?」
「王都のダンジョンは昔に攻略されてるからだと思う。あとは階層も少なくて、確か……50層くらいまでしかなかったと思う」
ダンジョンの核があれば色々と出来るってクルトが言ってたな。
先にレベル上げするつもりだったけど、クルトの計画のこともあるし、やれそうならここのダンジョンを攻略してしまうのもありか…
「ここのダンジョンって何階層まであるかわかる?」
「わからないよ。でも、ギルドで聞けばどこまで踏破されてるかはわかるかも」
「そっか…」
「お兄ちゃん、攻略しに行くつもりなの?」
「出来そうならね、クルトにも協力するって言ったし」
レベル上げの為に往復するのがめんどくさいからとは言わない
「今回のレベル上げが終わったら、僕が1人で攻略しに行ってくるよ。その間はミアが2人のレベル上げを手伝ってあげて」
「お兄ちゃん1人だと危ないよ。私も行く。今なら私も戦力になれるよ」
実際、ミアが来てくれた方が助かる。でも…
「僕が強いの知ってるでしょ?それに強くなったミアだからフィルとフェンを任せることが出来るんだよ。僕の計画を前に話したでしょ?今、レベル上げを中断するのは得策じゃ無いと思うんだ」
「うん、わかった」
なんとか説得出来たかな。
納得した顔はしてないけど……
「とりあえず、今はレベル上げに集中しよう」
気持ちを切り替えてダンジョンの奥に進んでいくとモンスターハウスを発見する
中に入ると多数のスライムが湧いてきた
「これ、前に錬金術師の人が言ってたやつかもしれない。僕がやるから手を出さないで」
スライムの涙を手に入れるチャンスだ
3人は頷き、距離をとる
どれも同じに見えるけど、まずは鑑定だな
スライム(悪)
スライム(善)を倒す為に結成された部隊の一員
スライム(善)以外が近くにいる場合は、横取りされないようにそちらを優先的に攻撃する
スライム(悪)?
普通のスライムとは違うようだ。
何体も鑑定するけどスライム(悪)ばっかりだな。
スライム(善)ってのがどこかにいて、それがボススライムってことかな?
僕はスライムを一体づつ鑑定して(悪)なのを確認しながら倒していく。
そしてついにスライム(善)を発見した
スライム(善)
スライムの変異種
人間の味方をしようとする為に、他のスライムから狙われている
なるほど、敵であるはずの人間を助けようとするから他のスライムから狙われていると
とりあえず、このスライム以外を倒すことにする
スライム(悪)を全て倒し終わると、スライム(善)がピョンピョン飛び跳ねる。
何か伝えようとしてるのか?
魔物の言葉はわかんないからなぁ、お礼とかかな?
スライム(善)はそのまま地中に消えていった
スライム(善)がいた場所には涙型の水晶が落ちていた
スライムジュエリー
スライム(善)の体内で作られた宝石
自らの意思以外で体内から外に出すと消滅する
高い魔力を内包している
スライムの涙じゃなかったな
でも状況的にこれのことだろう。
これで金貨20枚か……なんとも簡単に手に入ってしまったな。
それに謎も解けた。
ボススライムを先に倒すと残ったスライムも消えるのは、標的がボススライムだったからで、ボススライムだけ残して残りを倒すと戦わずに消えて宝石を落とすのは助けてくれたお礼ってことだな
これ、鑑定が無かったら完全に運ゲーだ
「スライムの涙手に入ったよ」
「え、ほんと?」
僕はスライムジュエリーを見せる
「すごいキレイ」
「輝いてるね」
ミアとフィルはスライムジュエリーを見ながら目を輝かせる
「鑑定だとスライムジュエリーって名前だったよ」
「宝石なんだ。こんだけ輝いてるもんね。いいなー欲しいなー」
ミアにせがまれる
「ダメだよ。これは杖の魔石と交換なんだから。もしまた手に入ったらあげるよ」
「ちぇー。お願いね」
「フィルもまた手に入ったらあげるからね」
フィルも欲しそうに見てたので言ってみるが
「こんなに高そうなもの貰えないです」
と断られた。何個も手に入ったら何か理由をつけてあげるとしよう
「レベル上げのつもりだったけど、一旦戻って錬金術の店に行こうか。金貨20枚くれるらしいから、今日は贅沢できるよ」
「やったー」
フェンが両手を上げて喜ぶ
そして、錬金術師にスライムジュエリーを渡した際に衝撃の事実を知ることになった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます