第50話 閑話 side クラスメイト

委員長視点


影宮君が王城を去ってから1週間程経った。

私達の脱出計画はうまく進んでいなかった


なぜ進まないのか、理由はわかっている

一つは影宮君がみんなの前で処刑されてしまった為、国に逆らう事に皆、恐怖を感じている事


もう一つは高村君達が国側についた事。杉岡君の職業が勇者だった事を利用してうまく取り入ったみたいだ。

初日に水晶で勇者と出ていて騒いでいたのは覚えている。

影宮君からは「杉岡は勇者だけど、あの神様が自分にケンカを売ってきた奴にそんなにいいスキルを与えたとは思いえない」と言っていた。ただ、詳細は鑑定では見れないらしいから実際の所はわからないとも言っていたけど。

これは私も同感である。シキって神様は杉岡君にスキルを与えた時にイタズラっ子のような笑みをしていた。

なにかカラクリがあると思う。

鑑定じゃなくてステータスを自分で開いた場合は詳細もわかるから杉岡君自身は何か知ってるかもしれないけど……


何か行動を起こすには、国にも高村君達にも知られるわけにはいかない。誰が高村君達に付いたのかがわからないから迂闊に声をかけれない。手詰まりである


訓練もダンジョンでのレベル上げがメインになってきている。5〜6人パーティを組まされて魔物と戦っているけど、国の騎士が入っているから下手に力を使うことも出来ない。


高村君達を筆頭に国に協力的である程に、色々と優遇されてきている。私達に残された時間は少ないのかもしれない


どうしたらいいんだろうか…


――――――――――――


高村視点


「いやー、杉岡の職業のおかげで楽しいなぁ。国王のやつとも気が合いそうだし、このまま国の中枢まで登り詰めて毎日やりたい放題しようぜ」

俺は杉岡の肩を叩きながら笑って言う


「高村さん、俺の職業が実際は使えないの知ってるでしょう。こんなことしてて、バレたら殺されちゃいますよ。」

杉岡が焦った顔で言ってくる


杉岡のスキルである勇者の詳細はこうだった


勇者

戦闘時に勇気が湧いてきて恐怖心がなくなる。

逃走が出来なくなる


マジでゴミスキルだ。絶対あの神におちょくられてる。


「バレなきゃいいんだよ。それに影宮の奴を、国王を使って処刑させた時に、無能だからって理由で処刑してただろ?実際は影宮のやつが何か国王に対して不都合なことを知ったとかだろうけど、本質的には使えないやつは要らないんだよ。そうなるとどっちみちお前は本当の力がバレたら終わりだ」


「そうかもしれないけどよ…。それに影宮を殺すことはなかったんだんじゃないか?」


「まだそんなこと言ってるのか?それに俺が殺したんじゃねぇ。なんでもよかったんだよ。あれは国王に俺たちは使えるってアピールする為にやっただけだ。国王にあいつは皆から疎まれてるから、いなくなっても誰も悲しまねぇって教えてやっただけで殺してくれなんて言ってない」

実際はこうなるかもと思ってたけどな…


「そんなことより委員長だ。あいつ何か企んでやがる」

川霧が訴える


「そんなこたぁ、わかってるよ。この国がやべぇってことには気づいてるんだろう。だけども委員長はいい子ちゃんだからな。自分だけ逃げるってことが出来ないんだろうよ。それよりも明日のダンジョンでは絶対に杉岡を戦わせるなよ。勝てない相手でも勝手に1人で突っ込むんだから。杉岡が使えないってバレて困るのは俺達全員なんだからな」


「……すまない」

杉岡が謝る


「いいんだよ。お前のおかげでうまくいってるじゃねえか。気にすんな」

杉岡は逃走出来ないから、最悪の場合は置いて逃げるか


「ああ、助かるよ」


こうは言ったけど、委員長にクラスメイトを持ってかれるのは困るな。

今は王国の騎士の方が強いけど、レベル上昇時の上がり幅がかなり俺達は高いらしい。

王国に寄生するなら出来るだけクラスメイトは逃したくない。

俺のスキルは特別強いスキルじゃなかったが、俺に向いている


交渉

交渉時に相手の求めるものがわかる


これで何人かはこっち側に引っ張ってこれるだろう


数人くらいなら見逃してやるが、全員連れてこうなんて夢を見てるなら、委員長には影宮の後を追わせてやるか

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