3章 王国 脱出編

第21話 逃亡者、開けてはいけない扉を開ける

委員長達と別れた僕はミアを連れて城から抜け出す。

もう夜遅い為、宿屋に向かい部屋を借りる。


僕は2部屋借りようとしたんだけどミアに「お金があまりないので1部屋にしましょう」と言われてしまった。

僕は無一文でお金はミアの今までのお給金から出してもらっている為、反論は出来ない。

「ありがとう、ミア。甲斐性がなくてゴメン」


部屋で僕はどうしても気になっていた事をミアに聞くことにする。

「ステータスの職業ってスキルとかによって自動で決まってると思ってたんだけどこっちの世界の人の職業って実際の仕事と同じだよね?あれってなんで?」


僕は城ですれ違った人を度々鑑定していた。

国王は職業も国王だし、鎧を着て歩いている人は皆兵士か騎士だった。

でも、僕たちは違う。この考えでいくと無職とか訓練生とかになるんじゃないのかな。でも実際は剣士とか魔法使いとか忍者なんてのもいた。


「お兄ち…灰人さんたちがおかしいんですよ。職業はなんの仕事をしているのか表示しているだけのはずですよ」


また、お兄ちゃんと呼ぼうとしたのでミアの顔をジッと見ると灰人さんと言い直した。…おかしいのはやっぱり僕たちか。何かルールが違うんだろう、地球に帰る為の手掛かりになるかもしれないから調べてみるか。


「あと勝手に鑑定して悪いけど、なんでミアの職業がメイドから妹になってるの?僕はまだ認めてないよ」


「ステータスオープン……本当だ。妹になってる。世界が私を灰人さんの妹って認めたんだね。やったー!」

ミアはとても嬉しそうだ。


「…わかったよ。これから一緒に行動するにしても兄妹ってことの方が説明しやすいし妹ってことにしてあげるよ。ただ、お兄ちゃん呼びはやめて。恥ずかしいから」


僕は折れることにした。

お父さん、お母さん、あなた達の知らないところで息子に妹が出来ましたよ。


「本当ですか?やったー!!…じゃあなんて呼べばいいですか?」


「…兄さんかな、灰人くんでもいいよ」

ぼくは悩んで無難な所を答える。


「…お兄ちゃんと兄ちゃん、どっちがいいですか?」

却下みたいだ。


「もう好きに呼んで……。」

僕は諦めることにした。


「そうするね、お兄ちゃん!」

変な扉が開かないように気をつけよう。僕は固く胸に誓う。


「じゃあ、もう寝ようか。おやすみ」


「おやすみ、お兄ちゃん」

僕は気持ちをグッと抑えて布団に潜り込んだ。


ー 称号[妹属性]を獲得しました ー


称号[妹属性]

妹が好きなものに送られる称号

パーティに妹がいる場合各種ステータスに+補正(中)


はい、扉開いてました。

そりゃこんなにかわいい子にお兄ちゃんって言われてたらこうなるよ。認めたくなかっただけで昨日から扉は開きかけてたけど…。

流石にこれで称号を手に入れるとは思ってなかったな…


朝、僕はミアに起こされる


「起きて、お兄ちゃん。朝だよ」


あ、これデジャブだ。

「おはよう、ミア。やっぱり昨日もこうやって起こしてたんだね?」


「おはよう、お兄ちゃん。バレちゃいましたね。でももう隠しませんよ。」


「もういいよ、それよりご飯にしようか」

2人で宿屋の朝食を食べに行く


「うん。あんまりだね」

僕は小声で感想を述べる

「そうですか?美味しいですよ。城の食事と比べたらダメです」

ミアは満足のようだ。

実は城でのご飯もそんなに美味しいとは思ってなかった。日本で僕の舌は肥えていたようだ。

「今度向こうの世界の料理を作ってあげるよ。そんなに得意ではないけどね」

「ほんとですか?うれしいです。約束ですよ!」

「帝国領の街に着いて落ち着いたらね」


さて、それまでに作れる料理と作り方を思い出しますか


「街まではミアに案内任せていいの?」


「はい。大丈夫です。任せてください」


自信満々のミアについていく

「この馬車に乗せてもらいましょう」


一見普通の乗り合い馬車に見えるけど乗ってる人の鑑定結果は盗賊、盗賊、奴隷商、盗賊、冒険者、盗賊

はい、アウト!いろいろアウト!

「…ミア、本当にこの馬車で大丈夫?」

僕はミアに一応聞いてみる

「はい!大丈夫です。冒険者の護衛も雇ってますし安心です」

ミアには目を覚ましてもらおう

「ミア、あの人が冒険者なのは当たりだよ。でも残りの人はみんな盗賊だよ。奴隷商もいるから乗ったら売られちゃうね…」

「えっ…」

ミアは言葉を失う

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