第22話 逃亡者、冒険者を助ける
「僕は鑑定が使えるから気づいただけだよ。ミアのせいじゃないよ」
ミアをフォローする。
「うん、ゴメンね。」
「僕はあの冒険者さんと話してくるからミアは隠れてて。合図するまでは出てきたらダメだよ」
僕は少し離れた物陰を指差す。気づいちゃった以上、無視は出来ないよな
「ねえ、お姉さん」
僕は冒険者に声を掛ける。
「どうした?少年」
警戒してるな…
「冒険者のナディアさんですよね?」
僕は鑑定で見た名前を言う。
「あぁ、そうだが何用かな?」
「ギルドから伝言がありますのでこちらへ。内密な話になりますので…」
ナディアさんは警戒を解かずに馬車から降りる
僕は直球で聞くことにする
「ナディアさんがあの馬車に乗ってる目的を教えてください」
「商人の護衛よ。なんでそんなこときくのよ?」
ナディアさんは少しイラだっている
「扱ってる商品は知ってますか?」
「食料と工芸品よ。それがなにか?」
「本当にですか?」
僕は表情を観察しながら再度確認する。
「ええ、そう聞いてるわ」
これは白だな。これで黒なら演技がうますぎる。
「確認がとれました。あなたは白のようですね」
「…」
ナディアさんは言っている意味がわかってないらしい
「あそこに乗ってる人は盗賊と奴隷商ですよ。気づいてました?」
「えっ、何言ってるの?」
めっちゃ動揺してる。少し口調が崩れたな
「ああ、気づいていませんでしたか。僕が思うに商品はあなたかもしれませんよ」
「そんな…でも」
「僕の事が信じられなければそのまま行けばいいですよ。ギルドからってのは嘘ですが言った事は本当ですよ」
最後に決めるのはナディアさん本人だ。
「…あなたを信じてみるわ。冒険者は安全を取るものなの。あなたが嘘を言ってたとしても依頼失敗で成功率が下がるだけだ。本当なら奴隷ね。そんなリスクを負うほどじゃない」
堅実な思考してるんだな
「じゃあ僕はこれでいきますね」
僕はナディアさんと別れようとしたが
「お礼をしたいから時間をくれないかしら?」
うーん。正直はやく国を出たいんだけどな。
「わかりました。人を待たせてるのでとりあえずそこに行きましょう。盗賊の皆さんがこちらを睨んでますし」
僕達はミアの隠れてる場所まで移動する。途中でナディアさんから衛兵に通報してもらった。
「ミア待たせてゴメンね、こちらナディアさん」
僕はミアにナディアさんを紹介する。
「助けたお礼をしたいらしいんだけどどうする?」
「せっかくの好意をお断りするのも気が引けますので少しなら遅れてもいいかも。元々は私の…」
「さっきも言ったけどミアは悪くないからね」
本当に気にする必要はないんだけどなぁ
「ありがとね。私に何かして欲しい事ある?なければご飯でもご馳走するわ」
「それじゃあご馳走になります。冒険者の事も教えてもらってもいいですか?」
「もちろんよ」
僕は近くの大衆食堂で食事をしながら少し気になっていた冒険者の事を教えてもらう。
「「ごちそうさまでした!」」
お礼を言ってナディアさんと別れる際に「何か困ったことがあれば頼って」と言われる。
うん。助けて良かった。出会いは宝だ。
ナディアさんと別れた後、僕とミアは今度こそ乗り合い馬車に乗る。
…ミアが逆方向行きの馬車に乗ろうとしてたけど、僕は気づかなかったフリをしてあげた。
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