第52話穏やかな日々

春が終わり夏が過ぎ秋になった。

そろそろ稲刈りの季節のはずだが、今年は? まだ暑い。

昨年は稲刈りをおこなう頃になったら涼しく過ごしやすい感じだたのに…。


そう思いながら新たな拠点となった江古田館の一室でお嫁さんである照姫さん、椿姫さん、桔梗姫さん、彩姫さん、そしてお福、とお饅頭を食べながら雑談に興じてる。


そう言えば今年の12月には全員16歳以上になるんだよね…。

流石に5人もお嫁さんが居ると夜の順番を間違えると一瞬で修羅場になりそうな気がするから気を付けないと。

いや、お福って誰? って、照姫さんの侍女だった女の子で歳は18歳、細身でスタイルが良い女の子でチョイチョイ話したりしてるうちに色々あってお嫁さんの仲間入りをした。

まあぶっちゃけ自分が気さくに話しているのを口説かれていると思ったらしく皆が寝静まった後、大人の時間を過ごしてたら4回目の夜にバレた。


どうやら1回目の時は全く気が付かず、2回目は夜風にでも吹かれに行ったんだろうと思ってたけど、3回目になるとどうやらおかしいとなり、4回目に現行犯で現場を抑えられた。

その後、鳳凰院家、緊急家族会議が始まり、事情を話、謝ったんだけど、これは確実に侍女のお福が責められるパターンだ! と思ったら、お福が何を言おうと自分が夜這をしお福はそれを拒めなかったという事になり、結果、4人と同等の嫁となる事になった。

照姫さん、お福のへの信頼度メッチャ高い! 夫であるはずの自分よりお福への信頼度が高いってどうなの?

まあ結果的にお福はお咎め無しだったので良いんだけど、泰経さんが今度は慌てだした。

豊嶋家の家臣の娘ではあるけど親は身分が高いとは言えず、更に手を出した侍女を嫁にしたとなると今まで嫁に、侍女にと娘を送り込もうとしていた国人領主などが更に増えて収拾が付かなくなるとの事らしい。


最終的には成田正等を泰経さんが説得し、お福を養女とし成田家から嫁ぐと言う体裁は取ったものの当初、正等は武家の娘とは言え成田家に縁も所縁も無い人を養女にするのは流石に難色を示したけど、豊嶋家、太田家、長尾家、三浦家と同じく成田家も一門衆にするという事で納得してくれた。

成田家も本当は嫁として女の子を送り込みたかったんだけど、年頃の娘が居なかったので一門衆とすると言うのが決め手となったと泰経が言っていた。

そしてバレてから再度禁欲生活が始まり現在に至る。


ただ、年明けから秋まで遊んでいた訳では無く、色々と内政に励んだ結果、来年以降には交易品として売り出せそうな物が増えた。

清酒の製造が軌道に乗り現在は石神井川上流域が酒造りの町となっている。

冬になれば本格的に仕込みが始まり春には大量の清酒が各地へ売り出す事になる。


また、開拓した台地で治水が追い付いていない耕作に適さない場所を大規模な菜の花畑にした事で、これも来年には菜種油の量産が出来るはず。

養蜂も順調な為、ハチミツの量産も進んでいるし、綿花栽培も始めている。

今の所の交易品は石鹸が主な交易品だけど今後は更に品が増える予定だ。

因みに現在、椿を大量に植えた椿林を作っているが椿の実を十分な量確保出来るまでには後4~5年は時間がかかると思う。


大型船も順調に増え、鳳凰院家所有6隻、品川湊の宇田川清家所有が2隻、江戸湊の柳川元昭所有が1隻、合計9隻が稼働中で堺、琉球、北は十三湊(津軽半島北西部)、海外は明まで交易に向かわせている。

堺、琉球、十三湊との取引は順調で、堺からは良質な鉄や各地から集まった珍しい品や種子、琉球からは砂糖とサトウキビの苗に陶器、東北や蝦夷からは砂金や毛皮等を手に入れ、品川・江戸湊はかなり好景気だ。

現在は堺の商人に口利きをして貰い周防(山口県)の三島牛を仕入れる予定だ。

和牛の原種だからね、美味しいステーキとか食べたいし。


ただ明に向かった2隻の船は勘合符を持っていないうえ初回という事もあり、大々的には取引が出来なかったものの、欲しかったハゼノ実と苗、香辛料、羊などを仕入れて来た。

サツマイモやジャガイモも欲しかったけどまだヨーロッパの国が進出して来ていなかったので手に入らなかった。

現在ははルソン(フィリピン)に拠点を作る為、3隻が有志の商人を乗せて向かっている。

ルソンを拠点にマラッカ(マレーシア)方面にも拠点を築くつもりだ。

ヨーロッパが進出して来る前に先に拠点を作って置き早く取引きを開始する為だ。


それにしてもまだこの時代は大航海時代が始まったばかりだからまだアジアまでヨーロッパの国々が進出してなかったのは盲点だった。


ちゃんとネットで調べておけば良かった。

ジャガイモとサツマイモは早めに導入したかったんだけどな…。


---------------------------------------------------------------

※次回更新は6/14 23時を予定しています。

補足

実はヨーロッパの国々が海外進出を始めたのは1400年代後半ごろからでアジアに進出したは1500年代前半と言われています。

それまではシルクロードを経由してもたらされた物や伝聞のみで航路が確立されていなかった為、アジア地域ではなくアメリカ大陸やアフリカ大陸への進出に注力していたと言われています。

1543年に日本へ初めて鉄砲を伝えたとされるポルトガル人は、現在の中国の船、ジャンク船に乗ったポルトガル人と言われています。


恐らく、その際鉄砲が高額で売れた事に味をしめた事で一大市場である中国大陸だけでなく日本にも商機を見出した可能性がありますね。

キリスト教の布教と領有化の目的もあったと思いますが…。

日本は仏教が根強く、場合によっては武装しているうえ、争いが絶えない為運よく? 宣教師がキリスト教の教えを説いても大規模には浸透しなかったのではないかと思います。

まあ、大名でもキリスト教徒になったり、キリスト教の村を作ったりした人は居ますが…。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る