第3話神様からの爆弾発言

「少し落ち着いたかい? わざわざ僕がこの世界に干渉までした理由を話したいんだけどいいかな?」

「まあ良いんですけど、それよりも、この顔と頭髪、そして体形どうにかなりません?」


「そこは、僕的にはどうでもいい事なんだけど、まあそれに関しては後で話をするとして、大事な話をしたいから、まず僕の話を聞いてくれるかな?」

「じゃあ後で何とかしてください。 それで大事な話って何ですか?」


「うん、君が穴に落ちる際に抵抗をした結果、君の魂に膨大な魔力が内包されてしまったんだ、その上君は神雷を受けて神の力の一部を持つ特殊な魂となってしまっている、ここまでは理解できるかな?」

「ええ、理解できます、抵抗した際に魂に魔力が流れ込んでいくとか言ってましたもんね」


「そうなんだ、魂に膨大な魔力が内包されたから、強大な魔力を扱える人間になるって訳では無いんだけど、常人では扱いきれない量の魔力が宿っている状態、まあ普通は器が小さければ使える魔力量も限られて来るんで特に問題は無いんだけど…、今は溢れ続けてる状態を僕が強引に押しとどめてるって感じかな」

「器ですか、要はカップに入る水の量は決まってるから、中身を一度出さない限りそれ以上は入らないっけど、神様が無理やりカップを大きくしてると?」


「そう、まあ器はこれから君が頑張れば大きくなるから問題なくなると思うんだけど…」

「それを聞いて安心しました、今後、これ以上の成長は見込めないとか言われたらショックで自殺しますよ」


「そう、それが困るんだ、正確に言うと、約1年の間に死なれては困るんだよ」

「死なれたら困る? どういう事ですか? 死んだら再度転生するだけじゃないんですか?」


「まあ普通なら新たな命に魂が入り、生まれ変わるんだけどね、君の膨大な魔力と神の力の一部を内包した魂は肉体という器が滅んだら魂も霧散してしまうんだ」

「霧散? って事は消滅って事ですか?」


「そう、消滅だ、それだけならどうでもいい事なんだけど、さっき言ったように君の特殊な魂が霧散したらその魂に内包された力が、かなりの広範囲に広がってしまい、生態系に悪影響を及ぼすんだ」

「魂の消滅はどうでも良いの? いやそれより悪影響? 具体的に言うと?」


「そうだね、大規模な自然災害も起きるだろうし、神力の一部を持つ強力な新種の魔物が生まれたり、魔物が突然変異を起こしたり、普通の魔物も数十倍の力を得たりとかかな。 もちろん人間にも影響が出るるだろうけど…。」

「それはまた大惨事ですね…」


「そうなんだよ! とは言え内包した魔力や神の力の一部が魂に定着し、また器が大きくなれば問題は無なくなるから、それまでの間、大体約1年間は死なれちゃ困るんだよ」

「そうですか、では死なないように頑張りますが、もう現状死にたいぐらいの気分なんですけど…」


「だから魂に力が定着するまでの間、こうやって監視と護衛をしてあげてるんだ」

「じゃあまず、この顔と頭皮をどうにかしてください! あと体形も」


「そうだな、出来る限りは何とかするが、一気に変えると別人のようになってしまうから徐々に変化をさせていく感じになるがそれでいいかい?」

「いや、別人みたいになっても問題は無いんですが、てかむしろ徐々にする必要あります?」


「あるさ、君が転生した肉体は、ハンズ=ローレンと言う43歳のFランク冒険者なんだ、これから君はハンズ=ローレンとして生きていくんだから、突然顔や体形が変わったら困るだろ?」

「いやいや、ハンズ=ローレンとして生きていくって言っても、今までどうやって生きて来た人なのか知りませんよ? 家族や知り合いだって分かりませんし」


「それに関しては、ハンズの記憶が君の記憶と共有されるから問題は無いよ、心を静めて記憶の扉を開いてごらん」


そう言う神様の言葉に促され、深呼吸をし目をつぶって記憶を思い出すように意識を集中すると一気に記憶が頭の中に流れ込ん出来た。


両親の顔、兄弟の顔、燃える村の光景、冒険者ギルドに登録した日の事、薬草を採取して生活をしている事…。


そのぐらい時間が経ったんだろう、ハンズ=ローレンと言う人間が歩んで来た人生が自分の事のように思えてきた。


それにしてもこの人、っていうか今は自分だけどなんか残念な人生を送って来たんだな…。

まさかこの年で童貞なうえ薬草採取してたらゴブリンに出くわして逃げ回ってる記憶まであるし。


転生してもこれじゃ前世の方が良かった気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る