第2話転生させる方法もう少し考えて貰えません?

突然空いた足元の穴…。

下を見るとそこは真っ暗闇で見る限り奈落の底へ続く穴のように見える。


「ちょっとまて!! なんで異世界に飛ばされるのがこんな雑な方法なんんですか!!」


そう言って開いた穴の縁を咄嗟に手で掴み落ちるのをギリギリで堪える


「いや、普通はここに来る人間居ないし、人が通れるドアとか無いからね。 それよりも出来れば素直に落ちてくれないかな? その亜空間って魔力が満ちているから長時間その空間に居ると体内に魔力が集まり過ぎて魂に悪影響が出るんだよね、その他にも弊害があるし…」

「いや、なにそれ、どんな悪影響が出るんですか? 説明不足過ぎるでしょ!」


「もうしょうがないな~」

そう言うと神様は必至で堪える自分に笑顔で近づき、穴の縁を掴む指を一本ずつ縁から外していく。


「いや、そこは引き上げるとこでしょ、何で落とそうとしてるの!」

「だから、その空間に長時間居ると悪影響が出るからすんなり落ちてくれないと困るんだよ。 ほら、どんどん魂に魔力が吸い込まれていくから早く落ちてくれないかな?」


そう言いながら笑顔で指をほどいて行く神様のせいで必死で掴んでいた穴の縁から手が離れ、自分の体が闇の中に落ちて行った。


「笑顔で穴に落とす神様ってどんだけドSなんだよ~~~~~!!!!!」


そんな悲痛な叫び声が穴から響いてるはずなのに、神様は笑顔を崩さず、手を振ってる。


「やれやれ、やっと行ってくれたか、まさかあんな風にあそこで粘るとは思わなかったな。 今度からはもっと大きな穴にしないと。 それにしても彼の内包魔力は既に常人以上になっちゃっただろうな…。 まあ一人ぐらいイレギュラーがいてもいいんだけど、それにしても少し面倒な事になったな…。」

1人になった部屋で神様はそう呟くと穴を閉じ上手く転生が成功してるか確認をすると慌ててさっき転生させた人間の元に向かう。


その頃自分は転生したようだったがどうも何かがおかしいと感じていた。

う~ん、転生させて貰ったけど穴から落ちたせいか身体が重たい、それに痛い、全身に痛みが走って呼吸も苦しい…。

穴に落とされたと思ったら次の瞬間には全身に激痛が走るってどういう事?


そう思い重たい瞼を開くと、目の前には額に角を生やした真っ赤な毛並みの巨大熊が後ろ脚で立ち上がり、巨大で鋭利そうな爪を振り上げ、今にも振り下ろそうとしてる。


あの神様のウソつき~!!!!

転生した直後に死亡フラグ立ってるじゃんか!

もうだめだ…。 助かる気がしない。

そう思いつつ、うつろな目で巨大熊の爪が振り下ろされる瞬間を見ていると、巨大熊と自分の間に眩い閃光が走った。


「やれやれ、君が無駄なあがきをするから転生先が替わってしまったじゃないか」

眩い閃光から先程聞いた神様の声が聞こえる。


「あんまり干渉するのは駄目なんだけど、ちょっと転生直後の死亡はまずいからね」

「いや、それに関しても言いたい事は沢山あるけど、この状況でどうしろと?」


「うん、大丈夫。 身体の傷を治してあげたから、その右手に持った剣を前に突き出してごらん」


そんな声に導かれるように、握っていた剣を前に突き出すと、剣の柄を通して痺れた右手に何かに剣が突き刺さるような感触が伝わってくる。


「グォォォォォ!!!」

巨大熊の咆哮が聞こえた後、目の前には折れた剣が深々と胸に突き刺さり仰向けに倒れた巨大熊の姿があった。


「はぁ~、ほんと世話の焼ける転生者だね、まったく…。 本当は10歳ぐらいに転生させる予定だったのに、余計なことをしてくれたおかげで、40代のオッサンに転生しちゃうとは…」

「はっ? 40代? どういう事、前世よりも15歳以上歳とってるって事?」


そう言って右手にある折れた剣を鏡代わりにして自分の顔を見る


「え~~~~~!! オッサンじゃん、しかも頭皮薄いし、顔も小汚いうえ、身体つきもダルンダルンしたもう中年って感じじゃん!!」


そう言って折れた剣を鏡代わりにして何度も自分の顔を見る。

前世でもイケメンとは言い難かったとは言え普通だたと思う。

だけど剣に移る顔は完全に女子が近づいてこないような顔のような感じがする。


「い、いや、ちょっと、これは無いでしょ! イケメンに転生してハーレムとかがテンプレなのに、これじゃハーレムどころか道行く人も避けて通るじゃん!」

「いや、オッサンに転生したのは、君が素直に穴に落ちなかったからだからね、本当は10歳ぐらいの貴族の息子あたりに転生させる予定だったのに、君が無駄に抵抗するから転生失敗したんだよ」


「うそ~!!! だったらそれ先に言ってよ、それなら素直に穴に落ちたのに、何の説明もしないでいきなり足元に穴開けたら誰だって抵抗するでしょ!」

「いや、普通は抵抗しないよ、今まで何人も転生させたけど、抵抗したのは君が初めてだよ」


そう言う声の方を見ると、丸く光る球体が自分の目の前に浮かでる。


「うわぁ! 人魂?」

「いや、さっきまで普通に話してたでしょ、この世界で肉体を構築すると色々と問題があるから、こういう形で干渉をしているんだよ」


そう言って光る球体は自分の周りをフヨフヨと漂いだす。

まあ昼間だからまだましだけど、夜に光る玉が漂ってたらマジ怖いよ…。

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