第7話 狼煙

(ようやくおれも全盛期の1/10を取り戻した)

(ん????)

「あ、あ、あ、・・・・・!」

「お、なんかいつの間にかしゃべれるようになっている!!」


別にしゃべれるようになったからどうということはないが情報収集はこれから頻繁にできるようになる。

ブタ人間ということさえバレなければどうということはない!


「いずれにしろ!テストを兼ねて剣の腕もどの程度もどったのか。試してみないと」


そう思って、俺は手ごろな相手を探すことにした。

罠には相変わらず知能指数の低いのが引っかかっている。


「俺の罠が巧妙なのか?それともこの亜人どもの知能がかなり低いのか?」


そんな言葉をいいながら罠の外に出た!

すると、前からカエルの亜人が2人?2匹ふらふらよってきた。


「お、向こうから獲物がきたゲロ」

「俺たちものすごくついているんじゃないゲロか?」


なんかすごい語尾がわかりやすい感じの緩さで俺に絡んできた。

ちょうどいいテスターが現れてくれたのでさっそく試してみることにした。


「悪いとは一切思わないが、刀のサビになってくれ!」

「????」

「こ、こいつ!な、なにを言っているのゲロか?」

「アホなんじゃ・・・・・」


しゃべっている途中に申し訳ありませんが、横なぎ一閃!!!

カエル亜人から大量の体液?血液が飛び散った!


「くっ!な・なにが・・・・!」


わけのわからない状況に頭の整理がつかないもう1人の亜人も袈裟切りで一撃で葬った!


「うーん!やっぱり本調子には程遠い!だがこの拾った剣はなかなかの業物だ。俺の目利きが良いということだな」


切って殺したことに特に感慨もなく言い捨てた。

ひとまず手を合わせてその場を過ぎようと思ったが、一瞬で弓を構えて矢を放った。


「ひ、ひいいいい!!!」


茂みに隠れていた違う種類の亜人の声が聞こえてきた。


「隠れているのはわかっている!!死にたくなければその場から失せろ!!」


その亜人がどのような亜人だともわからず逃げ出していったのはわかった。

これで俺のことがある程度の範囲で広がるのは間違いないだろう!!


「これはこれでいい!後は、情報収集を限りなく行い俺に何が起きたのか?そこだけ記憶が落ちているのでなんとしても取り戻す!!」

「そのためには非道と呼ばれようが構わない!どんな手段をこうじても必ず成し遂げてやる!」


特にブタ人間にこだわっているわけでも仇を討とうとかも考えてない。

だが、許せないものもある!ただそれだけだ!!!


「俺の身体が全盛期のどこまで戻るのか見当もつかないがこれからも鍛錬をやめることはない!必ずだ!!」


自分への戒めのために発言すると俺は西に向かって歩みを進めた。

そして、森と草原の境界線まで行くとある生物に目がとまった。


「こ、これは?」


その草原が広がっていた先にいたのは牛の群れであった。

それも前の世界にいたホルスタインみたいな牛であった。


「ふっ!これは使える!」


俺はそれを見てすぐにあることに気付いたため笑みがこぼれた。

その思い付きを現実にするためにまた森に走ってもどった。


「あれさえあれば・・・・!!」


あるかどうかもわからない”ある”ものを必死で探した!

それほどに重要なものなのである。


「はあ、はあ、くそっ!!見つからない」

「この森には存在しないのか!!」

「ん?」


俺のなかでひとつのアイディアが浮かんだ!


そして、俺は一目散に罠にかかった亜人たちのもとへ急いでもどった。


「よしよし、結構集まった!これで購入することができるかもしれない!」


先ほどは刀や使える道具などを漁っていたが、今回は金と金目のものを探しまくった!

意外にいろいろな亜人が金目の物を持っていたためこれなら購入できると確信した。


「実際どのくらいの物価指数なのかは皆目見当もつかないし、この銅貨、銀貨、金貨、さらに白光に輝く金貨。これらがどのくらいの価値なのかもわからない!ひとまずぶっつけ本番だな!」


俺はとにかく集められるだけ集めた。さらに突っかかってきた亜人も斃し、そこからもまた徴収したから結構な金額になった。

もちろん、価値がわからないから大量=金持ちとは限らないが・・・!?


それでも巾着袋三つほどパンパンになるほど手に入れたというか拝借した。


「割合としては銅貨が6割、銀貨が3割、金貨が1割、白光の金貨1枚といったところだな」

「よし、近くの町へ向かおう!!」

「しかし、このままではブタ人間だとすぐにバレてしまうのでいろいろ探している際に見つけたこの着色料みたいなものを使用して色をつけて誤魔化すしかないな!」


俺は一通り漁ったあとに使えるものはひとまず大量に持っていくことにした。それは商人になりきることにしたからだ。

荷物は重くなるが仕方がない。

そして、着色料で体を緑色に替えて鼻から下を包帯でくるんで森を抜けた。目的のものを売ってそうな町を探しに出かけるために。


(第8話につづく)

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