第4話 人間の都市

あの森から東へ進むこと3日間。

俺は人間の住む都市にたどり着くことになる。


(ようやくたどり着いた!これがこの世界の人間の都市か!)


見た感じ大きさに関しては中規模な都市と思われる。前世の記憶でしかないが・・。


大手を振って正門から入るなど不可能なことは分かりきっている。

夜になってからどこかに入れる場所がないか探すことにした。


(まったくといっていいほどしっかりした壁だな。ほころびがほとんどない)


要するに、手入れが行き届いているということになる。この都市の収益が安定していることを表しているだろう!


(うーん!どうしたものか)


思案しながら歩いていると、用水路っぽい場所があることを見つけた。

周りを十分に警戒しながらその場所へ走った!


(うっ!こ、これはげ、下水か?)


用水路だと思っていた水路は下水であった。しかし、つべこべ言っている場合でもなかった。

なぜなら、いつ狙われているのかわからないためである。


(前世で体験しなかったことばかりでありがたいね)


嫌味をいいながら、下水に入っていった。

中は真っ暗、汚水は臭い!(当たり前だが)

とにかく前へ前へ歩みを進めた。


(ここはあくまで下水であり迷宮ではないので必ずどこかに繋がっているはず!)

(追手はここまでは来ないとは思うが俺も長居できる場所ではないのでできるだけ早く抜け出すように動かないと)


メタンガスで充満しているので松明をつかうことなどできるはずもなく、ひたすら暗闇の中を動いた。

そして、多数道が分岐している場所に出てきた。


(ここで一旦集約して外に垂れ流しているのか!ならば出口は近いな!)


そう思い、分岐の一つに的を絞って今までの深さではなくなった下水道を足早に進んだ。


するとようやく風の流れが肌をかすめるようになってきた。


(もう少しのはずだ!)


俺の足は自然と早まった!

月明かりが照らすのが見えた。

完全にダッシュになっていた。


(な、なに?)


月明かりで照らされた穴は遠くから見ると大きい感じがしたのだが、近くにいくほど小さくなって頭がようやく入るぐらいの大きさであることがわかった。


(躊躇している場合ではないな!)


ひとまず頭を出して周りを確認。誰もいないことを確かめるとそのままその穴から無理やり抜け出すことに成功した。


(すーはー)


新鮮な空気を吸って出した。

よく見るとどうやらそこは大衆便所のようであった。それも街の真ん中にあるものだった。

そのため、そこに気を留めず少しでも早く目立たない場所に行かなければならなかった。


(あそこに路地があるな!あそこに一旦身を隠す)


即断実行である。

フードを素早く被り走った。

幸い誰にも見つからずに路地に入ることができたが、先ほどの汚水で随分体力を削られていたことに気づかず走ったため、その路地に転びながら突っ込んだ形となった。


その先がゴミ箱でさほどの音もしなかったため気づかれずに済んだ。


(危ない、危ない。前世の記憶のまま身体を動かすと手痛いことになる!もっと自分の体力などを知っておく必要があるな)


俺も前世では万能であったとは言え、人間だから失敗を侵す。そのたびに修正をしてきたので万能であったともいえる。


(自分の幸運に感謝・・・・?)


俺はゴミ箱に突っ込んで周りに気づかれなかった感謝をしようとした眼前に見たものは!


(ど、同族のく、首!?)


なんと目の前にはおれと同族のブタ人間の生首があった。


(ど、どういう、、こ、ことだ)


あまりの衝撃に思考が硬直した状態から抜け出せなくなっていた。


(と、とにかくお、落ち着け!)


自分に言い聞かせて無理やり落ち着かせた。

しかし、同族の生首を見るとさすがにいい気分にはなれなかった。


(こ、ここは一旦離れた方が身のためだな!)

(そのあと、考えて何が起きてるのか確認しよう!)


何とかこのあとの状況を思考して、その場を去った。


フードを被り直し走っていると結構な大通りに出そうになって足を止めた。

そこには夜にも関わらず老若男女問わず人間たちがたくさんいたからだ。


そこは市場のような出店のようなものが立ち並んでいて光が煌々と照らしている場所であった。


(ここはまずい!隠れ場所を探してから情報収集をしなくては)


周りを探したが思った以上に隠れながら路地を見渡せるところがないことに気づいた。

一か所を除いては・・・。


(屋根の上に登るしかないな!)


誰もこない路地で休憩をしたあと、体力がいけると確信してから壁と壁の間をよじ登って屋根の上に上がった。


(はあ、はあ、はあ、これぐらいでこれほどの息切れをするとは筋力が足りないせいだな)

(そんなこと考えている場合ではない。すぐに路地を確認しよう!)


俺は見つからないように屋根に這いつきながら路地の方を確認した。

そこには、ありとあらゆるものが売られていた。

薬、服、雑貨、食品、ブタ人間。・・・・・!?


(な、なにブタ人間?)


その露店のような場所にはブタ人間が数十体積まれていた。

それもこんがり焼き色をつけられて・・・。


(第5話につづく)

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