第3話 逃避行開始!
俺は罠にかかった多数の亜人どもを見ながら考えていた。
(なぜここまで俺の正確な位置がわかっているのだろう?)
(そのためにもまずは自分のことを知ることが必要だ!)
(そのあと、修行をするのが効率的だろう!)
そう結論づけた俺は罠にかかった亜人どもの荷物を引っ張り出してきた。
(俺にはかなり重装備なものが多すぎる。)
(食料に関してもレティ草があれば問題ないので他の食物はそのままにするか)
(服もサイズが合わないのばかりだが、破って使用すれば十分に使えるな)
(あとは、俺に近い亜人の持っているこの剣を拝借しよう!)
あれこれ考えながら漁って、ほとんど必要最低限で揃えた。胸当て、額当て、手袋にフードつきマント。それに切れ味が良さそうな軽いレイピアみたいな剣。
準備は整った。よし!いざ出発とは・・・・いかない!!
なぜなら・・・・!!
(罠を張っていない外側から異様な気配が充満している)
(ほとんど周りは固められていると思って間違いない!)
罠にはまった亜人たちをみて様子見をしている者たちが罠の外側にいるのはまず間違いなかった。
それでも耐えきれない知能指数が低い亜人が突っ込んできたに違いないのだ。
(外にいる亜人もしくは人間であれば狡猾な罠を逆に張っている可能性があるな)
(しかし、ここまで殺気に満ちあふれていると驚きを通り越して呆れる)
そこからの一週間は罠の向こう側の探索を開始した。
(この程度の罠しか張れない敵なのか?)
(それともさらに狡猾なのか?)
結果、俺の下した判断は前者であった。人間らしき姿は全く見れなかったのがその判断の結果の1つではある。
(突破口は全部で5か所)
(そのうち、わざと空けているのが2か所)
(そのほかの2か所は把握ができていないので残りの1か所にかけよう!)
これ以上は思考より行動だ。その夜に決行することに決めた。
月明かりが明るく照らす日の夜であったが俺の作戦にはあまり関係ない。
それはある程度の部分までは隠れて進み、開けた場所に出たら一気に走り抜けるというものだからだ。
しかし、作戦とは到底言えないようなものではある。だが慌ててはいけない。
実はこの森を見つけたときに森の周辺もすでに把握している。その1か所の抜け道の先には断崖絶壁があるのだ。その場所にある仕掛けをしておいたのだ。
(よし、では出発といこうか!)
俺は小さい身体をさらに小さくして遮蔽物に隠れながら進んだ。
そして、森を抜ける境に到達したところを一気に駆け抜けた。
「おーあいつの言ったとおり出てきたぞ」
「ビンゴだビンゴ」
こいつら森の外にさらに陣取って待っていたのか?
そこまでする意味があるのか?
(いずれにしろ今は止まるわけにはいかない!)
脇目もふらずひたすら絶壁の方角に走り続けた。
やつらも俺を追いかけてくる!
そして、絶壁を超えた・・・・!?
ように見せた。
絶壁のすぐ近くに自分一人立てるぐらいのスペースを作っておいたのだ。
俺を追いかけていた亜人どもは俺を飛び越えてそこが絶壁であることを気づいた時にはすでに遅し。
「な、なに!」
「お、落ちる!」
「う、うわああああああああああああああああ!!!」
どうやら追いかけていたのは3人?だったようだ。次々に落ちていく。この高さではまず助からない。
(よし何とか乗り切った)
絶壁をよいしょと乗り越えた。
その前に大きな影。
(??)
(くっ。もう1人いたのか?)
「おもしろいブタ野郎じゃねぇか!」
そいつは俺を見下しながら語りかけてきた。
よく顔をみるとこいつも豚の顔をしていた。
(・・・・・な・なめているんか?)
同じ顔だけど品種?が違うだけで豚野郎にブタ野郎と言われる筋合いはないんだけど・・・!
「お前、一瞬でも俺といっしょだと思っただろ!!」
(か、勘は鋭いようだな!それとも顔に出たか?)
何か誇らしげに言い始めた。
「俺はあのオークの一族だぞ!お前みたいな貧弱なブタ野郎といっしょにされるのは我慢ならねぇ!!」
(オーク?昔やったファンタジーゲームに同じキャラがいたような気がする。いずれにしろどうでもいい。今はこの状況をどう打開するかにかかっている!)
(一旦、しかける!!)
思ったと同時にオークに向かって走り出した。オークは高らかに自分のことをまだしゃべっていたので急な俺の動きに驚きを隠せないでいた。
「な、なに?」
(こいつは勘でこの位置に陣取っていたな!でなければこの動きに対応できないわけがない!!)
そして、オークに向かってジャンプして剣を振り下ろす。オークはその図体に見合わない動きではじいた。
ここまでは想定内。オークが以外に俊敏なのと頭より勘で動くということがわかった。
(一気に駆け抜ける!!)
「ま、待て!!逃げれると思うな!!」
俊敏さは確認していたので、徐々に追い付かれてくるのも想定内だ。そのため、フェイントを交えて逃走を計った。
案の定、勘に頼った動きをするオークを翻弄することに成功!
あちらの持久力は見た目通りだったらしく、スピードが徐々に落ちていった。
その間隙を縫って逃走することができた!
逃走することはできたが、不甲斐ない自分に葛藤を覚えた。
そのまま東へと向かう。
(第4話につづく)
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